未来購入券

菜月 夕

第1話

「あんなに並んでそれでもあの新作ゲーム機は中々買えないんだよなぁ」


「そんなあなたに!

この未来購入券!

この券を買えばゲーム機が買える未来を買えます。

しかし、この未来購入券を買うにも未来購入券を買う購入券、と無限に続く購入手続きが必要!

その手間を時間波動関数に集約することで可能にしました。」


「兄貴ぃ、これって転売じゃないのかぁ。

この頃転売も煩くなったから捕まるぞぉ」


「大丈夫だ。俺たちはゲーム機を転売してるんじゃない。ゲーム機を未来で予約購入出来る券を売ってるだけだ」

「そんなぁ。バイトを使って買ったあのゲーム機はどうなんです?」

「もちろん、未来に於いて買われる物を俺達が先に揃えててるだけだ」


「お前達、特定商取引法違反で逮捕する!」

「お巡りさん、俺たちはこの未来予約券を売ってるだけですよ」

「問題ない!裁判所から未来逮捕権はもらってきた。お前達の逮捕される未来は既に特定されていたのだ」

そして俺達は手錠をかけられた。

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未来購入券 菜月 夕 @kaicho_oba

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