第2話 ベロニカ

 12月18日

雷電組の連中はテロリストに協力していた。

 若狭を襲った残間、段田、坂東、朴の4人は獄門によって射殺されたが、獄門の獲物であるH&K MP5SFK (セミオートオンリー)が奪われた。奪ったのは黒ずくめのテロリストだ。獄門は密かに黒子くろこと名付けた。MP5SFK の使用弾薬は9x19mm。装弾数は30+1発。


 黒子は突然、獄門の前から姿を消した。精神的なダメージが重いと黒子は透明になる。実はホテルでの決闘の数時間前、婚約者の和泉いずみが渋谷にある道玄坂で何者かによって轢き逃げされ死んだ。黒子は涙が枯れるまで泣いた。  

 

 獄門は謹慎中だった。11月の天狼会会長射殺事件の直後、取調室にて刺客の1人、吉良真一きらしんいちに銃を向けた。吉良の獲物であるトカレフを吉良に向け、『仲間はどこにいる!?』と凄んだ。吉良は悲鳴を上げ、それを聞きつけた刑事課長の千葉任助ちばにんすけはホルスターからベレッタM92Fを抜いて、獄門に向けた。

『早まるな獄門!』

 獄門は銃を捨て、経緯を話した。

『こんなことは前代未聞だ。しばらく頭を冷やせ』

 1ヶ月間の自宅謹慎命令が出た。

 自宅は二荒山神社の近くにある。ノートパソコンでネットをやってると『ベロニカ』って組織の存在を知った。伊勢銀次いせぎんじっておっさん臭い名前の男が代表で、オフィスは横浜にあった。実際にはまだ30歳で元海上保安官だ。厳密に言うと桜木町にあり、しばらく行っていなかったのでロープウェイが出来てたのでビックリした。

『ベロニカ』の他のメンバーは伊賀遼いがりょうという元空挺部隊の男だけだ。35歳だという。41歳の獄門が最年長だ。『ベロニカ』の最初の任務では、テロ組織の動向を探り、情報を収集した。伊勢銀次の経験と指導のもとで、チームは困難な状況に立ち向かいながら、組織の目的や構造を解明し、テロ活動を阻止するために協力する。


 桜木町のベロニカ基地で、伊勢銀次は伊賀遼と獄門圭介に最新の情報を共有していた。

 出勤した獄門は席に着いた。

 別室から伊勢銀次がやって来た。

「報告が入った。テロ組織が次なる動きを示している」

 ダンベルで腕を鍛えていた伊賀遼が「了解。どんな情報だ?」と言った。

 伊勢銀次はデジタルスクリーンに映し出された地図を指さしながら続ける。

「彼らのアジトの可能性が高いエリアがこれだ。伊賀、君の特殊部隊経験が役立つだろう」

 そのエリアというのは八ヶ岳やつがたけだった。八ヶ岳は、諏訪湖の東方にあって長野県から山梨県へと南北に連なる火山。日本百名山の一つ。 『八ヶ岳』は特定の一峰を指して呼ぶ名前ではなく、山梨・長野両県に跨る山々の総称であるが、その範囲は「夏沢峠以南のいわゆる南八ヶ岳のみ」「南八ヶ岳及び北八ヶ岳の領域」「蓼科山まで含んだ八ヶ岳連峰全体」など様々な定義がある。

「了解しました。準備を整えておくよ」と、伊賀遼。

 そこに新人の獄門圭介が加わる。

「私もお手伝いできることがあれば言ってください」

「圭介、君も協力が必要だ。情報分析で頼りになる存在だからな」と伊勢銀次。

 獄門は、年下の伊勢の馴れ馴れしさに少しカチンと来た。

 3人は協力して次なるミッションに備え、ベロニカの結束が更に強まっていく。

ベロニカチームは情報から導き出した山奥のアジトに向かうため、ヘリコプターでの機動作戦を計画した。伊賀遼はヘリの操縦を得意とし、獄門圭介は武器密輸の可能性を探るために情報を集めた。

 飛行中、ヘリの中での緊張感が高まる。伊勢銀次は操縦室から後部座席に移り、メンバーたちと計画を確認した。

「山奥での作戦だ。敵は重武装している可能性があるから、用心深く行こう」

 ヘリは山岳地帯に差し掛かり、獄門圭介が手に入れた情報を元に目標地点に近づく。

「武器密輸の手がかりはこの地域にあるはずです」


 伊賀遼がヘリを巧みに操縦し、山奥のアジトに接近するが、突如として敵の反撃が始まる。ヘリは激しい銃撃にさらされ、危機一髪の状況に直面する。

「敵の待ち伏せだ!迎撃に備えろ!」

 遼が叫んだ。

 ベロニカメンバーは機敏に反撃し、ヘリを安全な地点に着陸させることに成功する。しかし、山奥のアジトでの闘いが始まる前に、彼らは未知の危機に立ち向かう覚悟を決めなければならない。


 ベロニカチームは激しい戦闘の末、テロリストのアジトを制圧し、テロリストのリーダーのプロフィールを明らかにした。彼の名前は藤本健太ふじもとけんたで、かつては軍で訓練を受けた元特殊部隊員だった。彼はイデオロギーに基づく極端な信念に取り込まれ、非合法の武器密輸などを通じて資金を集めていた。


「藤本健太、元特殊部隊員か。しかし、なぜ彼がここまで極端な行動に出るようになったんだろう」と、銀次はテントの中で寒そうにしていた。

「敵は徳島へ逃走しようとしている」

 獄門圭介はランタンの光を眺めた。

「徳島か。どうやって逃げるつもりだろう」と、伊賀遼。


 ベロニカチームは急いで徳島への逃走経路を分析し、藤本健太を追跡することに決定する。ヘリでの追走が始まり、彼らは時間との闘いの中、徳島での決戦に向けて準備を進める。藤本健太は特殊部隊を辞職してからは吉野川よしのがわ市という徳島県北東部にある市で介護ヘルパーとして働いていた。

 

 徳島の風景に囲まれた舞台で、獄門圭介は孤独な戦いに身を投じる。ケアマネジャーの協力を仰ぎながら、彼は内乱に巻き込まれた街で暗躍する謎の組織と対峙する。


 ジャーナリスト・麻衣は、獄門圭介の戦いに興味を抱き、彼の後を追い始める。彼女の調査が新たな陰謀を明らかにし、獄門圭介の使命がより複雑なものになる。


 居合刀を手にした獄門圭介は、徳島の街で激しい戦いに身を投じる。内乱が拡大し、街は混沌とした状況に包まれる中、彼の力が試される。


 ケアマネジャーは獄門圭介の戦いに協力し、彼の過去とのつながりが浮かび上がる。二人の絆が物語をより深みに導く。


 獄門とケアマネの日向充ひゅうがみつるは川島城にやって来た。1572年に三好氏の家臣であった篠原長房が滅ぼされた後、その功績によりこの地を与えられた川島兵衛之進(川島惟忠)が長房の上桜城に代わって城を築き、後の1585年には蜂須賀家政の家臣である林能勝が城主となる。


 しかし一国一城令により1638年に廃城となる。その跡には徳島藩の奉行所が置かれ、明治になるまで存続した。


 現在は川島公園として整備されており、二の丸跡に1981年に観光用に模擬天守閣(「レストハウス川島城」)が建設された。内部はレストラン等の観光施設になっている。曲輪跡は比較的よく残っている。


 JR徳島線阿波川島駅から国道192号より徒歩約10分のところにある。


 居合刀で獄門はマシンガンをぶっ放してくる藤本を倒した。実は獄門は八ヶ岳の戦いのとき藤本に蜂の巣にされて死んでいる。

 幽霊として蘇ったのだ。

「俺に怖いものは何もない」

 

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