第100話 みんなで協力して

 魔鉱山に出現したムカデ型モンスター。

 こいつを倒すため、俺とエリナとゲイリーは連携して挑む。


「どこを見てやがる! 俺はこっちだぞ、ムカデ野郎!」


 威勢よく飛びだしたゲイリーが先制攻撃を仕掛ける。

先ほどのラターシャと似たような攻撃スタイルだが、彼は経験値が段違いに豊富。相手の動きをよく見て、最善の動きを最小限の手間で済ませている。だから、不測の事態が起きても迅速に対応できる余裕が生まれていた。

 それにしても……相変わらずの馬鹿力だなぁ。


「やりますね、ゲイリー先輩!」


 一方、エリナはゲイリーの動きに合わせてムカデ型モンスターを自慢のスピードで翻弄していた。

 相手の注意がゲイリーへ向きそうになるとすぐさまちょっかいをかけて自分の方へと意識を向けさせる。その隙を見計らってゲイリーが強力な一撃を食らわせていった。

 正直、ふたりだけでも十分に倒せそうな勢いだが、あまり時間を長く消費したくないのである程度弱ってきたら聖剣の力で一気にカタをつけよう。


 俺は意識を集中し、聖剣へ魔力を注ぐ。

 これにより、威力は普通の剣の数倍へと跳ね上がるのだ。


「「今だ(です)!」」


 ゲイリーとエリナが攻撃チャンスを教えてくれる。

 待ってましたと言わんばかりに俺は大きく剣を振ってムカデ型モンスターへと斬りかかっていく。


 一刀両断。


 ムカデ型モンスターはスッパリと体をふたつに分け、しばらくのたうち回ったあと、ピクリとも動かなくなった。


「討伐完了、かな」


 剣を収めるも、この手のモンスターは死んだふりをして油断したところを襲ってくるという厄介な習性を持ったヤツもいる。他の騎士たちに見張りを頼み、俺はドイル様とアリッサ様のもとへ。


「お怪我はありませんか?」

「うん。みんなのおかげでなんとかね」

「とても素晴らしい戦いぶりでしたわ。さすがは聖騎士の称号を持つ実力者ですわね」

「俺ひとりの力ではありません。みんながチャンスを作ってくれたからこそ仕留めることができたのです」


 特にあの手の大型モンスターと戦う時は連携が大事になる。

 長年一緒にやっているゲイリーやエリナなら、即興でもお互いにうまく呼吸を合わせられるというのも大きな点だな。


 おふたりはそのゲイリーやエリナ、さらに戦闘へ参加した騎士たちひとりひとりにお礼をしていた――が、その輪に入らず、ひとり落胆している騎士がいる。

 無茶な突撃をして返り討ちにあったラターシャだ。


「ラターシャ……落ち込む気持ちも分かるが、今はまだ任務の最中だ。気持ちを切り替えていけ。まだまだ挽回するチャンスはあるんだ」

「せ、先輩……」

 

 若さゆえに暴走するのはよくあること。

 今回はそれが死に直結しなかっただけマシだ。


 彼女は実力があるんだし、焦ることなく着実に任務をこなしていけば、いずれ必ず上に行けると思うんだけどな。

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