第88話 未踏のエリアへ
聖剣と魔法による合体攻撃で道を切り拓く。
そこまではよかったのだが、想定以上に破壊力がありすぎて周囲への影響が懸念された。落盤の可能性もあったが、幸いにも異常なし。最悪の事態は免れたようだ。
「それにしても凄い威力だったな……」
「私もビックリしました。ここまで強力になるなんて初めてです。たぶん、私の魔法とジャスティンさんの聖剣は相性がいいんですね」
「相性なんてあるのか?」
「はい。だから、きっと私たちはいいパートナーに慣れますよ?」
「そうだな。君がもう少し大きくなったらお願いしよう」
「あっ、子ども扱いしていますね?」
アミーラとの会話は不思議と和やかなものになるな。
後ろで「私も死ぬ気で魔法を覚えよう」ってエリナが言っているけど、生まれ持った魔力量が違いすぎるので難しいだろうな。というか、こんな小さな子に張り合ってどうする。適材適所って言葉もあるんだし、エリナは今のままでいい。
――と、いう内容をエリナ本人に伝えると、
「ですよね! アピールする魅力は人それぞれですよね!」
と言って元気になった。
魅力の話は一切だしていないのだが……まあ、彼女が元気になったのならいい。それ以上のツッコミは野暮ってものだろう。
とりあえず、進む道はできた。
アミーラが指摘した通り、吹っ飛んだ壁の向こうには通路ができていたのだ。
「ここから先はさらに暗くなっているな」
「すぐに照明魔法を使いますね」
すかさずアミーラが奥の道まで照らしてくれたが……さっきあれだけの威力ある魔法を使っておいて、まだ照明魔法を使えるのか。まさに無尽蔵の魔力だな。
感心しつつも、視線は新しい道へと注がれる。
「かなり深いな……」
「うむ。モンスターの気配はないが、気を引き締めていかないとな」
この奥に魔鉱石が眠っている。
あと、さっきのジュエル・リザードの存在を考慮すると、この先へ通じる道は別の場所にもありそうだ。一応、鉱山内の地図はあるが、これはかなり古いからな。念入りに調べて新しい地図を作らなければいけないってドイル様に報告をしなくちゃな。
ゲイリーが他の騎士たちにも呼びかけ、いよいよ未踏のエリアへと足を踏み入れていく。
そこはこれまで使用されていた坑道よりも狭く、気温も下がっているようで肌寒さを感じるほどだった。おまけになんかこうジメッとしていて嫌な気配が漂っている。
「仮に魔鉱石があったとして、環境を整えるのが先決だろうな」
「そうだな。ここで長時間も作業をしていたら一日ともたずぶっ倒れそうだ」
どうやらゲイリーも同じことを考えていたらしい。
新しいルートの開拓で魔鉱石採掘の可能性は広がったが、同時に課題も見えてきたな。
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