第87話 協力技
ジュエル・リザードがいたという事実が、この見捨てられた鉱山にまだ魔鉱石が埋まっている可能性を強烈に後押しした。
坑道を進んでいた俺たちはやがて行き止まりにたどり着くが、アミーラはこの先に魔鉱石があると告げる。
「この先って……どうやって進むんだ?」
「隠し扉の類はねぇよなぁ」
俺やゲイリーは周辺を調べてみるものの、壁の向こう側に行く手段を発見でなかった。そもそも、そう簡単に見つかるようなら閉山する前に誰かが気づいていただろうし。
そうなると、残された手段は――
「壁を壊すしかないですね」
脳筋的思考を発揮するエリナだが、正直、それ以外の方法については俺も思いつかない。障害物を破壊して進むというのはダンジョンだと常套手段らしいのだが、それがこんな坑道でも発揮されるというのか。
ともかく、方法がない以上は試してみるしかない。
このメンバーの中でもっとも威力を出せるのは俺の聖剣なので、構えてはみたのだが……
「……ちょっと抵抗あるなぁ」
剣で岩壁を斬りつけるとか……そう簡単に刃こぼれとかはしないんだろうけど、だんだん不安になってきたよ。
すると、ここでアミーラから提案が。
「聖剣なら、直接斬らなくても私の魔法と融合させて壁を破壊すればいいんです」
「えっ? 融合?」
なにそれ……聞いたことないぞ。
「ど、どういう方法なんだ?」
「説明するよりも実際にやってみた方が早いですよ。――えい」
アミーラはそう言うと、自らの魔力を炎に変えて俺に放った。
「うわっ!?」
まさかの行動に驚くも、彼女の繰りだした炎魔法は俺ではなく聖剣に直撃。一瞬にして炎上するが……熱さは一切感じない。それどころか、不思議と力が溢れてくるような?
「ど、どうなっているんだ……?」
「聖剣の持つ力のひとつに魔力制御があるのをご存知ですね?」
「あ、ああ……だが、あれは相手の魔法攻撃の威力を軽減するためと聞いていたが」
「それはあくまでも基礎段階。応用すれば、今みたいに魔法と同等の効果を得られるんです」
「し、知らなかったな」
「騎士の力だけでなく、魔法使いの腕も必要になってきますからね。魔法兵団に所属する現役の魔法使いでもこれができるのは少ないってお父様が言っていました」
それをサラッとやっちゃうんだからアミーラは凄いよなぁ。
――ともかく、これで安全な壁の壊し方が分かった。
あとは……剣を振るだけ!
「さあ、お願いします、ジャスティンさん」
「おう!」
勢いよく剣を振ると、それを覆っていた炎が真っ直ぐ壁に向かって伸びていく。そして直撃したと同時に派手な大爆発を起こした。
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