第84話 動く魔鉱石の秘密
長い道のりを経て、俺たちはようやく魔鉱山にたどり着いた。
そしてアミーラの探知魔法を使って坑道を進み、ついに新たな魔鉱石の鉱脈を発見――したと思ったら、なんとその魔鉱石は自由自在に動き回っている。
魔鉱石が生きているわけがない。
なら、なぜあんな動きをするのか。
俺はアミーラに照明魔法の効果を強めてもらえるよう依頼。彼女は指示に従ってそれをすぐに実行してくれた。
おかげで、その正体が分かったよ。
「あれは……ジュエル・リザード!?」
天井に張りついていたのは体長五メートはある巨大なトカゲ型のモンスターだった。その背中には無数の魔鉱石が張りついており、怪しく輝いている。さっきアミーラが探知した魔力量の変化はこいつが原因だったのか。
「ジュエル・リザードか……懐かしいなぁ、ジャスティン」
「あぁ……そういえば、俺たちが騎士団に入って最初に相手をしたのがこいつだったな」
とある魔鉱山主の依頼で、ゲイリーやミラッカと一緒に討伐した日のことが思い出される。
群れで行動する習性があるため、深く考えずに片っ端から倒していったっけ……それにしても、あの時に倒したヤツより小柄だな。もしかしたらまだ子どもなのかもしれない。
「ヤツの背中にある魔鉱石は間違いなくこの辺りで食った物だろうが……どうやらまだ一体だけみたいだな」
ゲイリーの分析は正しいと思う。
ヤツらは身の危険が迫ると仲間を呼ぶ。
だが、ここにいる個体にそうする気配は微塵もない。
つまり、ヤツは群れを形成しておらず、単体で行動している可能性が高かった。
「倒すなら今だ! ここを餌場として認識し、群れを形成される前に仕留めよう!」
「おうよ! 全員俺たちに続けぇ!」
「「「「「おおおおおおおおおおおおっ!!」」」」」
ゲイリーのひと言で騎士団は一斉にジュエル・リザードへと立ち向かっていく。
だが、相手は天井に張りついたままなのでどうすることもできない。
そうこうしているうちに向こうも危険を察知したようでそそくさと坑道の奥へと逃げるように移動を開始した。
「まずい!」
あのままヤツに逃げられたら、また探知魔法で捜索をしなければならない。その間に仲間を呼ばれて数が増えては、討伐にかかる手間が一気に増える。なんとしても、ここで仕留めておかなくてはならなかった。
「ジュエル・リザードはここで倒しておかないとあとで厄介だぞ……」
「で、でも、天井に張りついた敵をどうやって倒せば……」
エリナの言うように、そこが根本の問題だ。
――と、
「お任せください!」
屈強な騎士たちの間から、可愛らしい声が響く。
手を挙げたのは魔法使いアミーラであった。
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