危機一髪
@phalaenopsis_orchid
第1話
暗闇の中、息を殺しながら暗殺者から逃げ回っている。腕や足はもう血塗れだが、それに気づく余裕もない。いつどこから襲われるかも分からず恐怖に怯えながら物音を立てないように一歩一歩進んでいく。
心臓が早鐘を打っている。喉から飛び出しそうだ。鎮まれ、鎮まれ、心臓。あいつに気づかれたら、今度こそどうなってしまうのか。
だが、現実は残酷だ。それを嘲笑うように暗闇から鋭利な刃物のようなものが足に突き立てられる。
「ギャー!」
思わず声を上げる。血が吹き出しているのがわかる。走って逃げるがすぐ追いつかれたようだ。相手の息遣いが聞こえる。
「ま、待ってくれ!お、お前の目的は何なんだ!」
暗闇のどこにいるかわからない暗殺者に向かって叫ぶ。だが、返事は無い。そしてすぐ横からまた刃物のようなもので腕を切りつけられる。
「うぎゃー!」
知らず涙が溢れる。泣きながら逃げる。ドアのようなものを見つけた。すかさずそこへ入り込む。だが、暗殺者もすぐ後で入り込んだようだ。息遣いが聞こえる。人間とは思えない素早さだ。
「頼む…もう許してくれ…何でもするから…」
だが、返事はない。
後ろへ後退りしていると何かを掴んだ。目の前に持ってきて、それが何かを確かめる。そうか、これだ!これを使うしかない!
掴んだものの封を切る。途端に暗殺者がこちらへ向かってくるのがわかる。バカめ。こちらの思う壺だ。
暗殺者に向かってそれを振り上げると同時に近くにあったスイッチに手をかける。
パチンと音がして、電気がついた。
暗殺者は振り上げたちゅーるを一心不乱に貪っている。
「はぁ、助かった」
これでもう暗殺者(きなこ)が俺を襲うことはないだろう。
危機一髪 @phalaenopsis_orchid
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。危機一髪の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます