New Game
白山 いづみ
17回目の人生で
人生はステータス不可視のゲームだ。
8度目の人生でそう気付いて、ひとつの人生にひとつのゲームクリア条件を設定した。
最初に決めたのは「世界中の国に足を運んでご当地メシを食べる」。これは食あたりで死んだので失敗だった。
9回目は「スポーツを極めて世界最強になる」、10回目は「世界最強の医者になる」……。15回目まで続いた最強シリーズは、まぁまぁの及第点でクリアした。
16回目の人生になるとき、世界が変わった。
自分の魂が別の世界へ渡ったのか、世界の方が変わってしまったのか……。
誰でも魔法が使えるとか。本格的にゲームかよ。
魔法が使えるからゲームマスター(神様)とのコンタクトが取れないかと思ったが、問い合わせ方法が悪いのか、まだ返事を貰えていない。
目を瞑って深呼吸したあと、ゆっくりと、魔力に溢れたこの世界を見上げた。
木の葉の隙間から零れる柔らかな光がキラキラと瞳を刺し、手をかざすと寝転んだ服に着いた葉っぱが顔におちてくる。
「なに? 溜息なんてついちゃって。お姉ちゃんが相談に乗ってあげようか」
「……なんでもないよ」
「なぁんて、なんでもあるくせに。気が向いたらいつでも話してね。お姉ちゃんは、キミの味方だから!」
ファンタジーのようなド田舎に生まれたせいなのか、5歳年上の姉はなかなか個性的に育ったと思う。
「ほらほら~、甘えていいんだよ~?」
「ちょ、離せよ!」
うん、個性的だ。どういう経緯で愛情表現がどストレートになってしまったのか、意味がわからない。
この17回目の人生のクリア条件、どうしようかと思ってたけど……。
「大好きだよ!」
この綺麗な笑顔を幸せにする、というのも、悪くないかもしれない。
New Game 白山 いづみ @aries0890
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