夢への一歩
金森 怜香
第1話 約束破り
私は、家の写真を見ながら思い返す。
いつから動物が好きだったのだろう、と。
「お前が動物好きだったのは、赤ちゃんの頃からだよ」
「そうなの?」
父と母に教えてもらった答えは、赤ちゃんから。
町内の犬を撫でてはキャッキャと喜んでいたという。
だが、小学4年生の夏になるまで、我が家にはペットがいなかった。
大きな変化を起こしたのは、小学校4年生の夏である。
私は、生まれて初めてペットを飼うことになった。
きっかけは、まだ小さな捨て猫を拾って帰ってきたことである。
白い体に、焦げ茶色の尻尾。
そして、ブルー系の瞳をした、まだ幼い子猫だった。
「親もいないの? お家ないの? じゃあ、うちの子になろう!」
当時小学生の私は何も考えず、その猫を拾って帰った。
母はもちろん、大反対をした。
「猫は拾ってきちゃダメってずっと約束していたでしょう!」
「でも、この子だって可哀想だよ。親もいなくてお家がないんだから」
「猫は大嫌いなのに……」
母は、実は大の猫嫌いである。
「拾ってきて、また帰してこいというのもちょっと酷な話だからね……。けど、飼い主が見つかるまでの保護、だからな!」
結局、父の一言で猫との生活が始まった。
当時子どもだった私は、猫の抱っこの仕方も上手くなかったが、日に日にうまく抱っこできるようになり、一緒に遊んでいることも多かった。
母は猫を見るたびに嫌そうにシッシッと手を払う。
父は悪戯をした猫を叱る一方、なんだかんだと一番メロメロになって世話をしていた。
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