小説を始めようと思った。
Aris_Sherlock
そう。これだけ。
私、小説を書き始めたの。
理由は特にない。なんとな~く。
今頭の中にある言葉をこう...うまくまとめたいっていうか...なんていうか...。
これ理由だね。まぁ、なんでもいいや。
そんな感じでスタートした私の作家(?)生活はなかなか楽しく始まった。
書くのも楽しいけど、いろいろやってる内に投稿サイトのほかの人の作品を読むのがすっごく好きになった。
ほかの人の作品読むのって、その人の頭の中覗いてるみたいで。面白い。なんか字面がサイコパスだね。
今、気になってるのは"熊猫"先生の作品。あんまり有名な人でもないんだけどね。私が初いいねの作品もあったりするし...。
先生の作品は、よく女子高校生が主人公として出てくる。私も女子高生だからなんだか話に共感できるっていうか。
なんてことない日常が物語として流れていくんだけど、それがなんだかほっこりして楽しいの。
ってか、なんてない日常を面白く書けるのすごくない?私ならぜっっっっったいあんなの書けないよ。
っと、読んでばかりじゃだめだよね。私もなんか書こおっと。
って思ったがドツボ。数作しか書いてないのにもうネタ切れ。
うなだれた体の手が伸びる。
...これは...小説書きとしての勉強...決してサボりじゃない...。
そう空気に向かって言い訳をしてスマホを覗く。
覗いている合間に、前回投稿した作品のステータスが目に入る。
...閲覧数...0...。
まぁ、まぁまぁまぁ、まぁまぁまぁまぁまぁ。
最初なんてこんなもんでしょ。...うん。
さっきよりも早い手つきで先生の作品を検索する。
「正月太りと雪と追試と」著 熊猫
"私と最終追試どっちが大事なの!" "追試に決まってんだろ身の程をわきまえろ!"
"雪って不思議だよね。雨とほぼ変わらないのに、心を浮つかせるもん。"
"食べても食べても減らないものなーんだ?" "脂肪" "コロス!"
うーむ。面白い。
それにまったくもって私と現状が似ている。正月で二キロは増えたし、学年最後のテストで赤点を取ってしまっている。
それに、
思い出して部屋の窓を開けた。
すこぶる冷たい空気が部屋にお邪魔してくる。
「雪だ。」
大粒になった雪は空から音もたてず降り注いでくる。白さはなんだか心を躍らせるほど。
日本海の水気を山を越えてもなお引き連れてきた寒気は私の地域を珍しく雪マークにさせた。
ってさすがに寒すぎ。
窓を閉める。誰だよ、小説の主人公よろしく雪降る中窓開けて「雪だ。」とかやってるやつ。頭おかしい。
ちょうどその時、スマホの通知音が鳴った。
「おっ。」画面を見て声をあげてしまった。
声をあげたくなるほどだった。
私の作品に初めていいねがついた。それも熊猫先生からだ。
このときはなんか無敵な気がした。先生にいいねされたんだから。なんでも出来る気がした。
それから、ちょっと書き方を変えることにしたんだ。
毎日の出来事を小説の内容にしてみた。
靴下が穴空いたとか。出所不明のレゴブロックに足を持ってかれたこととか。なんでも。
理由は熊猫先生もそんな気がしたから。つまり、出来事をもとに書いてるってこと。私の妄想かもしれないけどね。
最近の閲覧数は1。
先生とはよくレビューを送りあったりしてる。
最初の目的とかも忘れて。今はただ、物語にふけっていたいって思った。
私の小説はわたしの心を曝け出せてる気がした。だって、そこにいるのは私じゃないから。
でも、確かにわたしから生まれたものだった。だから、熊猫先生に読んでもらって嬉しかった。たとえたった一人でも。
もはやこれは、お互いの生存報告な気がした。いや違うな、近況報告だね。うん。
そんなのもいいな~って思った。
なんていうか物事のスタートって、その時思ってた方向とは全く違う方向に進むよね~。
でも、それが結構楽しいんだよね。うん。それだけ。
小説を始めようと思った。 Aris_Sherlock @Aris_Sherlock
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます