TANU

クラタキトリ

中指のみえないようにしてしまおう

人差し指

薬指

くっつけて

中指のみえないようにしてしまおう


混み合った雨の下で

まっ新なハンカチがどぶ鼠の毛並みみたいな色に染まる

きみの人差し指

薬指

くっつけて

中指のみえないようにしてしまおう


靴の群れにちぎり取られた赤茶色の苔が

石畳の端々につぶれてしまう

きみも人差し指

薬指

くっつけて

中指のみえないようにしてしまおう


みんな小さな屋根を掲げて歩く

小さな栗色頭がかき分けてかけ抜ける

きみの人差し指

薬指

くっつけて

中指のみえないようにしてしまおう


なくならないから追う 

後ろから山でよく聞き知ったブロンドの声がきこえる

きみも人差し指

薬指

くっつけて

中指の見えないようにしてしまおう


こん、とは名である

ねつきの山ではもてるのだろう、と願わずにはいられぬ

人差し指

薬指

くっつけて

中指のみえないようにしてしまおう


赤色、とは何であったか

あかい


自ずから 鋼鉄が動くのは いつから

大きいのだからしかたがない、である

人差し指

薬指

くっつけて

中指のみえないようにしてしまおう


こん、とは名である

ねつきの山ではもてるのだろう、と願わずにはいられぬ

人差し指

薬指

くっつけて

中指のみえないようにしてしまおう


やけに塩からい雨である

ブロンドは、晴れでない日には紫じみた茶色の毛並みである

人差し指

薬指

くっつけて

中指のみえないようにしてしまおう


一面の黒が塞がる

紺、とは茶色い姉の妹の名である

なくならないからおっていた やつらは

「わはは ばか ばーか」

みみもとで とうめいだから やつら

ひんのない やつら

人差し指

薬指

くっつけて

中指のみえないようにしてしまおう

こん、とはこのいもうとのなである

このひとさしゆび

くすりゆび

くっつけて

なかゆびのみえないようにしてしまおう

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