(四)-9(了)

 二人の警察官は互いに顔を見合った。そう、これが汎人の正体を明かしたときに一律に返ってくるいつもの反応である。

「ともかく、まあ、小説の取材でここに来たわけです。いや、お邪魔は致しません。小説の参考にもなるかと思いますので、お手伝いさせて下さい」

 駐在さんは「ハア」と気のない返事を返してきた。対して、警部補は「それでは私はこれにて」とまるで厄介払いができて良かったとも見えるほほえみを、彫りの深い顔にたたえながら駐在所を出て行った。


(了)

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とある駐在所の事件簿 【い-14】文学フリマ京都_筑紫榛名 @HarunaTsukushi

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