カレンとの模擬戦
鍛錬の成果を師匠たちに体感してもらうために模擬戦を迫られた。
「2人ともいいかしら?私が開始と言ったら模擬戦を始めてね。」
「おーけーっす!フィル!最初から全力で行くっすよ!」
「こちらこそ…できる限りの事はやるよ!」
「2人とも気合いバッチリね!それじゃあ行くわよ…開始!」
開始の合図と同時にまるで鋼鉄と鋼鉄がぶつかりあったような轟音が辺り一帯に鳴り響く。
「おぉ〜!結構ガチめに殴ったつもりだったんすけどね〜…やっぱりこれくらいじゃ足りないっすか。」
「っふぅ〜!結構キツイですけどね!」
(数百年間の鍛錬で強くなったと思ったんだけどなぁ…やっぱりこれが…世界最強クラスの化け物か…!)
再び轟音が何度か鳴り響く。最早その殴り合いは音速の域を超えており、目で追うことが出来なかった…
数百回程殴り合ったところでカレンさんが
「こんままやってても埒が明かないっす!だからこっからはガチの全力っすよ!」
「っ!分かりました!行きますよ!」
そして2人は同時に魔術を唱える。
『『独創世界!』』
『陽無の世界!』
『権冥の世界!』
2つの世界が拮抗する…が、魔力量を上回り優勢になったのは…フィルの方だ。
「っ!?デタラメな魔力量ッすね!私もそこどこ多いハズなんっすけど!」
「…こちとら数百年間頑張りましたからねぇ!!『世界魔術・影奪!』」
「もう世界魔術まで使えるんすか?!ならこっちもっす!『世界魔術・陽乃嵐!』」
得体の知れない恐怖を孕んだ影と全てを焼き尽くす6000度の熱戦がぶつかり合う。少し影が侵食していたが結果は…
そのまま消滅してしまった。
「ふはっ!マジすかっ!最後若干自分押されてたっすよ!」
「アハハハっ!楽しいですねぇ、師匠っ!!まだまだ行きますよ!」
「アッハッハッハ!いいっすよ!あんたの鍛錬の成果、どんどん見せるっす!」
僕はハルバードを構え、魔力を込める。
これは僕の『独創世界』の魔力だ。
つまりこれに触れれば相手は僕の魔術に侵食される。
込めた魔力をデタラメなスピードで飛ばす。
「っ!それが鍛錬を覗き見してた時に見せた斬撃っすか!」
カレンは横に紙一重で避けた、が…ほんの少しの傷をつけられてしまった。
「なんでっすか?!たしかに当たらなかったはずなのに!」
「カレンさん…僕の『権冥の世界』は権限を僕の自由にできる、つまり僕がやったのは…攻撃範囲の制限という『権限』を解除した!」
そう…この世界には何事にも『権限』が存在しているのだ。
食べるということにも『権限』があり、
寝るということにも『権限』があり、
そして…生きるということにも『権限』がある。このようにありとあらゆるものに『権限』があるのだ。
「でもこんな少しの傷…っ?!動けないっす!」
「えぇ…だって、カレンさんの動く『権限』を僕が奪ったんですから…」
「まさか!あの少しだけのかすり傷だけでっすか?!…ならこうするっす!」
彼女は『陽乃嵐』の熱線を傷に当てる。
なるほど考えたな…『影奪』は侵食性の魔術だ、そのため攻撃が当たった部分を切り落とせば僕は相手の『権限』を奪えなくなる。
だがそれに気付いたとしても…
「結局は自身の体力を消耗するだけですよ。カレンさん。」
「アッハッハ!そう思ったっすよね!だけど!『世界魔術・鳳凰衣!』…効果は魔力が切れるまでの永続的な回復と攻撃力、速度上昇っす!」
「…ハハッ、マジか…」
彼女は頭上から足までに太陽のような色をした薄く透けて見えるベールを纏っていた。
「ならばこちらも…『影纏』…効果は永続的な身体能力の超強化…」
「2人とも着替えたということで、さぁ、第2ラウンド開始っす!」
「えぇ!」
底が見えないどす黒い影と万物を照らす炎が矛と盾となってぶつかり合う。カレンは灼熱の炎を付与した魔剣『ヘスティア』で斬りかかり、フィルは先程まで何の変哲もなかったハルバードを黒い魔力で侵食され魔斧になった『インヴァセキュ』を振り回す。
「楽しいですねぇ!カレンさん!」
「ああ!そうっすね!フィル!」
2人は笑みを浮かべながら戦う。
…しかし、この楽園とも思える時間は長くは続かず…
「っ!?クソっ!魔力切、れ…」
「え?!カレンさん!?」
「この模擬戦…悔しいけど、フィルの勝ちっす!」
そう言い彼女は地面に倒れた。
結果としては、最後はカレンが魔力切れを起こし、フィルの勝利で終わりを迎えた。
「ほんっと強くなったっすねぇ、フィル。まさか私の方が魔力切れになるとはわ…」
地面に仰向けになったままカレンは言う
「まぁ、数百年間頑張って鍛錬しましたからね。」
「アッハッハッハ!数百年じゃそこまでは行けないっすよ!…さて、私はもう教えることもないし、用無しっすね〜これからどうするっすかね〜」
「えっ、用無し?」
「そうっすよ〜もうフィルに教えられることはもう何も無い。だから私は用無しっす。…あれ〜どうしたんすか?もしかして私がいなくなったら寂しいんすか〜?」
彼女はニヤニヤしながら聞いてくる。
「まぁ、大丈夫っすよ。死ぬわけでもないし、これからもどこかでぶらぶらしながら生きて行くっす!だからそんな顔しないでくださいっす!」
「…1つ提案があります。」
「お?なんすか、なんすか?」
「…詳細はシトリン師匠との模擬戦が終わったあとにします…」
「お〜う、焦らすっすねぇ。まあ、シトリンとの模擬戦の後、楽しみにしとくっす!」
カレンとの模擬戦は終わり、次はシトリンとの模擬戦となった。僕はシトリンとの模擬戦にも勝ち、2人にある提案をする。承諾してくれるかは分からないがやってみないことには変わらないのだ。
--------------------どもえちょまです。今回は武術の師匠『カレン』との模擬戦でした!楽しんでいただけたでしょうか?拙い文章ですが楽しんでいただけたなら良かったです!
ぜひぜひ❤、☆、コメント、フォローをお願いします!
それではっ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます