第3話

 平べったくて薄い蓋を上げると、その下には白い凸凹がパラパラと並んでいて、その上にアルファベットや点やマルが並んでいる。

 スマホなら親指ひとつで画面に出せるものを、何で両手を使ってやらなくてはならないのか分からない。

 だいたい、キーボードなんかまともに触ったことがない俺は、人差し指でぽつぽつアルファベットを押すのがやっとだった。

「何も映んねえじゃねえかよ」

 開いたパネルは真っ暗だった。

 当たり前だ。電源が入っていないのだから。

 だが、そのスイッチが、どこを探してもない。

 パネルの裏を探してみた。

 パソコンを持ち上げて、その裏を眺めてもみた。

 ない。

 キーをカタカタと叩いてみたが、やっぱり電源は入らない。

 子ども時代の自信たっぷりの俺が、いやらしい笑い声を立てる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る