介護士に過労!~私がうつ病になるまで~
有宮旭
知らずに立っていたのは地獄の入り口
介護業界において、社会福祉法人が介護施設を持つことは珍しくない。ただ医療法人、つまり病院が介護施設を持つことは、少なくはないが前者ほどではない。しかし私の働いていた医療法人は、通所リハビリを筆頭に、療養型医療施設・介護支援事業所・ショートステイ、そこに新たにサービス付き高齢者向け住宅と併設の通所介護・訪問介護を加え、この高齢化社会に向けて、介護保険の先を行くかのように、医療と介護の両輪を見事にやってのけていたのだ。
そんな法人に10年前に入った私は、まず療養型医療施設、いわゆる病棟に配属された。ナースエイド、と言えば目新しく聞こえるが、そこは紛れもなく介護の世界であった。古い病院に新しい機械などはなく、古い型のベッドに会話もできない状態で体の一部が曲がったまま動かすことができない寝たきり高齢者、入浴機械などはなくシャワーで体を洗うだけ…「退院」する患者の大半は霊柩車に乗せられていった。
そんな中でも私はかなり頑張ったと思う。高齢化が進む介護士の中で、夜勤中心の仕事でやることはほぼおむつ交換と体位交換に食事介助、看護師とのうまくかみ合わない連携…それでも次第に体は慣れていった。夜勤手当がかなり多くもらえたのも働き甲斐の一つだった。
その2年後、新しくサービス付き高齢者向け住宅を建設し、その後隣接するように病院を新築移転する、という話に当時平社員でそこそこ評価が高かった私は飛びついた。飛びついてしまったのだ。
「法人内から新しい施設の管理者候補を募る」
サービス付き高齢者向け住宅とは何ぞやというところをネットで調べ、高齢者向け住宅みたいなものだ、という厚労省の広報を真に受けた私は、「まぁ、あくまで候補だし、副管理者くらいになればいいな~」と思って立候補した。
それが地獄の始まりだとも知らずに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます