殺人ゲームの館

音々ーNeonー

第1話

選ばれた。自分が死ぬか、誰かを殺すか。そう認識した途端、動悸が止まらない。

わかっていた。いつかこの時が来てしまうことを。

誰かを殺さなくては。

そう思い、僕は自室を飛び出した。


第一章

「店長〜、品出し終わりました〜」


そう言ったのは僕。どこにでもいる普通の男子高生、西園ハヤテだ。


「はーい。ごめんなさいねぇ、こんな遅くまで付き合わせちゃって」


この人は僕のバイト先の店長、南カナさん。

南さんいわくもう40代後半だと言うが僕の目にはお世辞抜きで20代のように見えている。正直言って大分好みだ。


「いえいえ、僕がやりたくてやっていることですから気にしてないですよ。それじゃあ先に上がらせてもらいます。」


「外はもう暗いから気をつけて帰ってねぇ」


「わかってますよ〜」


そう言って店を出た。


外はもう真っ暗となっていて明かりがあるとすればポツポツとある街灯ぐらいだ

明日の準備やこれからのことも考えていかなくてはならない。

段々と速くなる歩み。

楽しみと不安が一度に来てなんとも言えない気分である。


一台の車が僕の横を通り過ぎた。



次の日、目覚めた僕はそこが自分の家ではないことに気づいた。

この部屋に有るものは今自分が座っているベッド、少し大きめのテレビ、それからデスクと固定電話の至ってインプルな家具だ。

しかし問題は壁。黒とビビットピンクのツートンカラーで大分不気味である。


「な、何なんだよこの部屋は.....」


この部屋に留まるのは間違っていると僕の中の何かが告げた。

とっさにこの部屋を出ると僕の居た部屋の扉にはデフォルメ化された僕の顔とハヤテと書かれていた。

隣の部屋も、向かいの部屋も同じようにデフォルメ化された人の顔と名前が書かれていた。


「とりあえず、他の人を探そう.....」


そう思い個室と思わしき顔が書かれた部屋のエリアを抜けるとホールに続くであろう扉を見つけた


重たい扉を開けホールに入ると8人の男女が居た。


そこに居た人達は僕に目もくれず何やら言い争いをしているグループだったり何かを観察しているグループに別れているようだった。


「あ、あの.....」


おそらく同い年であろう女の子が恐る恐る僕に声をかけてきた。


「何でしょうか....?」


相手が女の子だろうと警戒するに越したことはない。なるべく隙が出ないよう、その女の子の声掛けに応じた。


「貴方も目が覚めたらここに居たのですか?」


「そうですね。貴女もそうなんですか.....?」


貴方も、ということはこの人もそうなのだろう。僕は警戒を少しだけ解いて、確認のためにもそう答えた。


すると女の子は表情を明るくして


「はい!私に限らずこの部屋に居る人達も全員が気がついたらここに居たみたいでこの館から出ることが叶わないみたいなんです....


あ、私小鳥遊カオリと言います。気軽に下の名前で読んでくださいね。それから、年も近いだろうからタメでいいですよ」


と言った。自己紹介してくれるのも周りのことも教えてくれてだいぶありがたい。

今の僕には少しでも情報が必要だ。


「なるほどね。僕の名前は西園ハヤテ。少しの間だろうけどよろしくね、カオリさん。カオリさんもタメでいいよ」

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