やっぱり現代ファンタジーでしょ。俺は魔術師で生きます。
@7576
準備しよう
転生、魔術師になります。
「クラス選択をしてください」
目の前の水晶玉からそんな声が聞こえた時、俺の前世の記憶は完全に蘇った。
今まで微かな違和感はあったけれど前世の記憶によるものだったのだろう。
白い世界で神様に転生させてもらったのだ。
特にこれと言ってチートはないらしいけれど前世の記憶を思い出せるらしいから、その時点でチートか。
うーん。
とりあえず、神様ありがとうございます。
前世の分も含めてそれ以上にこのファンタジー世界を楽しませてもらうことにします。
前世の記憶は黒歴史でしかなかったので置いといて現代ファンタジーに転生させてくれた自称神様なる謎の存在に感謝を捧げる。
超常存在?
どうやら今世の俺はごく普通の家庭に生まれたごく普通の男子中学生のようだ。
これはこれですごいと俺は思うぐらい普通の男子中学生だった。
名前は前橋爽太というようだ。
このそうたくんは4月生まれの15歳らしい。
時代は令和元年のようだが歴史は少し異なるみたい……ダンジョンがある世界なのだから当然か。似てる部分が多すぎて驚くべきなのかもしれない。
今世では中学3年生を迎えるとクラスというものを選択することになる。
ファンタジーではあるようだが、今世には前世と同じくステータスメニューとかHPとかMPとか、そういうデータ化されたモノはないからクラスといっても、ある種の特殊能力を授かると言った方がいいのかもしれない。
それら特殊能力はわかりやすくクラスと呼ばれ分類されている。
今世はこの不思議な水晶玉から個人が望む特殊能力が与えられる世界なのだ。
現代においては大抵の国は義務教育終了年度のはじめにこうして水晶玉から能力を授けられる機会が設けられるようだ。
だから今日は丸一日全国の中学生達が自分のクラスを決める日だった。
世の中の中学生3年生達はこの不思議な水晶玉を前にして必死に考えるわけだ。
クラスそれはつまり職業であり役割。
ダンジョンを潜るときにできることがクラスによって違う。
魔力の薄いダンジョンの外でも多少の恩恵をクラスによって違うが得ることができる。
戦士系ならちょっとだけ肉体が頑強になったり盗賊系なら手先が器用になったり、魔法系ならライターとか懐中電灯とかの代わり程度のちょっとした魔法が使えたりなどなどね。
数億円ぐらいあればクラスを変えることもできるらしいがそれは一般人には関係ない話。
それに豊かな現代社会の今世ではダンジョンに潜る冒険者になるのは少数派ではある。
ただダンジョンの外でも多少なりともクラスによる恩恵はあるので皆真剣にクラスを考えるのが今世では一般的だった。
何千種類からなるといわれるクラスからただ一つを選ぶのだ。
さて記憶を取り戻し整理した俺の選択はもう決まっていた。
俺は『魔術師』を選んだ。
今世の記憶……以前学校支給の端末を使ってネットで調べた記憶や授業で習った記憶を参考にすると、この魔術師というクラスは理論上、全ての魔法を習得できるというのが特徴のクラスだったのでこれに決めた。
せっかく現代とはいえファンタジー世界に転生したのだ。
色々な魔法を使って生きたかった。
魔術師に関して詳しいことは後々ちょっとずつということで。
当然今世の将来設計としてなるのは冒険者だ。
中学3年生の間は冒険者になる予定で親の説得や基礎的な体力作りや武器の使い方、魔術師の基礎的な必須技能の特訓に励んだ。
そしてそれから1年ほど経ち中学を卒業した俺は冒険者となることにした。
友達もいたがその全員が高校に行くことにしたようだ。ダンジョン冒険者になる中学生の少なさを身をもって味わったね。
卒業式も終えて諸々の手続きも終えた5月中旬、俺はようやく冒険者になった。
前世にはない職業、冒険者。
紀元前から存在するダンジョンを冒険し、資源を持ち帰る職業だ。
その登録手順も前世より厳格でこの時期までずれ込んだ。
その厳格さは一言でわかりやすく言えば、俺の生体情報は全て国に保存されているということだ。
病院に行って各種検査を受けた。
最近では特殊なGPSチップも埋め込まれるようになったとかで俺の体にも入っている。
国の監視ガーと騒ぐ団体もあるらしいが俺としては冒険者関連施設では指紋や網膜認証で支払いや本人確認ができるという前世と比べて非常に便利に変化しているところなので文句はない。
ダンジョンに潜って少し強くなるのだから国の監視を受けるのはしょうがないことだと思う。
冒険者になることで国から補助金も支給される。返済に関しては冒険者として成果を出せば免除もされる。
あと一応8月に行われる高卒認定試験はすぐに受けるつもりだ。
もう一度高校生活を送るぐらいなら冒険者にはやくなりたかったから急いで冒険者になった。
けれどもやはり学歴というものも大事だろう。
合格したとしても大学入学は数年後じゃないとできないらしいのだが早めに取って損はないだろう。
前世の記憶もある上にマークシート形式なので勝算は十分にあった。
今から参考書を読み進めている。
歴史に関しては前世とは細かいところが違うみたいだからそこは要注意だ。
冒険者になるということに関しては今世の親の説得には苦労したが流石に前世の記憶もあるし今世の親はかなり善良と呼ばれる人達でなんとかなった。
冒険者として結果を出せば良いと数年の猶予を与えられた。
国の冒険者の死亡率データによると最も死にやすいのは冒険者になってから数年後らしいから、その点も考慮されたのだろう。
さらに高卒認定試験にも合格すればもう文句は言われまい……と目論んでいる。
心配をかけるのは心苦しいがこれが俺のやりたいことなのだ。
前世にはなかったダンジョン、一体どんな冒険が待ち受けているのか、考えるだけでワクワクしてきている自分がいた。
あ、あとは実家を出て都内で一人暮らしにもなった。スマホなしパソコンなし必要最低限以外の家具もなし、シャワーを浴びれはするが風呂も無しで一部屋しかないような必要最低限の家だ。親の支援は断った。
一人暮らし……前世では経験したことがないことだったが数週間はすでに1人で暮らしており、これから冒険者として稼いでいけるなら一人暮らしでもなんとか俺でもできそうだった。ネット検索は偉大である。
一人暮らしの仕方をネカフェまで行ってネット検索するのは俺ぐらいだろうか。
さて、以上諸々の転生後のなんやかんやを終えた俺は通称冒険者ギルドと呼ばれる今世の役所で正式に冒険者登録を終わらせることができた。
次に俺は装備を整えるためショッピングモールに行くことにした。冒険者にならないと各種装備品の購入の割引やらそもそも許可が降りない為、このような順番にならざるおえなかった。入らないお店も当然ある。
武器や防具の他に本屋で呪文習得用の書籍など買いたいものはたくさんある。
冒険者になったことで国からの補助金があるのでそれを使って購入する予定だが無駄遣いはできない。
前世の記憶がある俺にとっては今世のショッピングもまた楽しみだった。
神様、俺はこの2度目の人生は楽しんで生きるのを目的に魔術師で生きていきます。
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