第44話 イベント開始




イベント当日、事前に参加することを選択しているプレイヤーは一定時間になるとイベント用の大きな空間に移動していた



プレイヤーはほかにどんな人があるのかあたりを見回す



「なあ、あそこにいるのって」


「あぁ、中華姉妹のランとリンだ」


「あっちには狂信者ザークもいる」


「王城凸のライアンは………………いない?」


「あいつは王女に会うために商人プレイしてるからこっちに参加しないらしいぞ」


「それであそこにいる集団がプレイヤー自警団、真ん中にいるのがツルギさんだ」


「最強Vゲーマー八皇、ティティルちゃんを倒した後に一番優勝に近い男だ」


「王道の戦士スタイルか、ぶっちゃけティティル戦線で疲弊ていたとしても勝てるビジョンが見えないんだが」


「わかる」



各所で同じような会話が繰り広げられる


そして




「来た、あの子が!」


「あぁ、今回のダークホース、ティティル!」







「へ~~、真っ白な空間ですね、それにいろんなプレイヤーさんたちがいますね!」



『これ全員がティティルちゃん戦線組んでるのか』

『何人いる?』

『大体5000人くらい?』

『1対5000か~』

『絡まれたりしない?』

『そういうタイプは自警団がいるから大丈夫だろうけど』


ティティルは純粋にイベントを楽しんでいるが、コメントは相手の数と現状にひやひやしている


おそらく視聴者のほとんどはまず無傷は無理だろう、そして優勝はツルギがいるしティティル戦線があるから厳しいだろうと考えている


宣言通り完遂してほしいが、現実はそううまくいかない





「大丈夫だよ、宣言通りに勝って見せるから!」


でもティティルの自信満々の笑顔を前に、不安は吹き飛ぶ



『そうだよな!』

『頑張れティティルちゃん!』

『優勝決まったな、風呂入ってくる』

『↑はええよw』








【プレイヤー諸君!】



突如、白い空間の上方に女神のような格好の女性が浮いていた


全体的に赤く、炎を表す服装や装飾品でまとまっている



【我が名は女神サラマン、このRWOの高性能AIであり、今回のイベントについて説明をさせてもらうものだ!】



RWOのAIは結構自我があるのだろうか、最初にキャラクリエイトの際に会う女神とは性格も格好も全然違う




【早速説明をさせてもらう、今回のイベントはPVPサバイバル、イベント用フィールドにて最後の一人になるまで戦ってもらう、ここまでは事前に公開されている情報だ】



【そして今から始めて話す内容なんだが、サバイバル中相手を一人倒すたびにイベントポイントが一つ獲得される、イベントの順位はこのイベントポイントの多さで決まる、そして最後まで生き残ったものにはボーナスのイベントポイントが付く】


【イベントポイントはその後にイベント用アイテムと交換することができるから、多く集めたらそれだけいいものを交換できるぞ】


【順位の1位から3位までは表彰して個別に順位ごとに褒賞をプレゼントを渡していく】


【ほかも参加プレイヤーも順位ごとの褒賞がもらいるからポイントを稼いで行けよ】



【あと細かいルールについてだが、ポイントはラストアタックを決めたものにポイントが与えられる、本来ならマナー違反だが、今回のイベントでは合法だ、存分に横取りしあえ!】


【そしてチャットやコールなどの連絡手段についてだが、参加者プレイヤー同士なら問題ないが、非参加者に連絡が取れないから気を付けるように】


【チートに関しては今現在もサーチしている、もしそんなもん使おうとしたやつがいたらすぐにBANされるから覚悟しておけよ!】






【武器やアイテムに規制はない、レベル上限もない、皆、存分に戦いあえ!】





すべてを言い終えると女神は消え、タイマーが表示される


10分後に開始するらしい





「なあ、これって」


「どうする?」


「戦線が崩壊しないか?」





するとプレイヤーの中で不安そうなことを話すのがちらほら




プレイヤー自警団のツルギも頭を抱えていた


「いや~~、マジですか~~」


「どうしたんですかツルギさん?」


「これは………ティティル戦線が崩壊するね」


「え、なんでですか?」


「イベントポイントだよ」




ツルギはほかメンバーにも聞かせるように話し出す


「サバイバルPVPだから最後の一人になれば優勝、って思ったけどそれだと最後の最後まで隠れて残り一人を倒せば一人倒すだけで優勝できる、運営はそれは面白くないと思ったんだと思う」




「ポイント制なら、最後まで隠れてもポイントは集まらないし、生き残りボーナスがどれくらいなのか明記されてないから、優勝する気なら自発的に動かないといけない」


「そんな中ティティル戦線は事前にティティルさんを倒すまでは互いに争わないって盟約を交わした」


「つまり周りのほかプレイヤ―が、がら空きの1ポイントにしか見えなくなる」




「もし戦線全員が裏切らなかったとしても、それはつまりティティルさんからしたら狙い放題ってこと、ティティルさんのみがポイントを獲得し続ける」


「もしティティルさんを倒せたとしても、それまでに優勝できるポイント、総人数5000人と仮定して、2501ポイント、生存ボーナスを加味して3000ポイントさえとっておけばその後はただ2位を決めるだけのつまらないものになるし、多分ポイントもそこまで手に入らなくなる」


「じゃあつまり」


「イベント開始時に油断しているプレイヤーを狙う裏切者プレイヤーが出てくる」






そう考え着いたのはほかのプレイヤーも同じ、このままティティル戦線に協力していいのか、裏切ってポイントを多く獲得すればいいのか



この中で落ち着いているのは、もともとソロだったティティル、もともと協力するつもりがなかったプレイヤー


そして、裏切ることを真っ先に決めたプレイヤー










「つまり、たくさん倒していき登ればいいってことだね♪」






時間が経ち、プレイヤーはイベントフィールドのランダムなポイントに転送される


範囲の広い島であり、森や平原、ビル群や山岳地帯、川や雪原、一目見ただけでは一番端まで見渡せないほどであった




そしてティティル戦線に協力し続けることにした全員は自警団に位置情報を知らせていく


「こちらツルギ、マップの中央から西南の箇所」


「グループ通話は切らないように頼む、切れたら死亡したってわかるからね」


「こちら外周の東地点」


「南西部、ビルの中に身を潜めてます!」


「中央は平原で何もないです!」


「北部は雪原地帯、雪が降ってます!」




グループ通話を行い、通話に接続し続けることで生存確認を行う






「何人か通話してこないけど、ほとんどは通話してくれたね」


「正直半分以上裏切られるかと思いましたよ」


「まあ通話してても後で裏切られるかもしれないけど」




すぐに合流したツルギと自警団副団長


建物の奥に潜み、情報を整理する





だが整理する時間もなく、狩人の矢が襲い掛かる




「ん、いまなにk(通話終了)」


「!?」


「始まった、今発射位置を確認できたやつはいるか?」


「こちら南西、軌道がみえたから多分北部k(通話終了)」


「超遠距離から射撃してやがる!遠距離射撃のダメージ量増加がやばいことになっt(通話終了)」


「(通話終了)」


「がっ(通話終了)」


「あぶねぇ、遠射対策で何とか一射目はギリギリHPがのk(通話終了)」


「貫通がないけどすかさず2射目がくるから生きn(通話終了)」


「多分中央からうたr(通話終了)」


「(通話終了)」「(通話終了)」「(通話終了)」「(通話終了)」


「(通話終了)」「(通話終了)」「(通話終了)」「(通話終了)」


「(通話終了)」「(通話終了)」「(通話終了)」「(通話終了)」


「(通話終了)」「(通話終了)」「(通話終了)」「(通話終了)」


「(通話終了)」「(通話終了)」「(通話終了)」「(通話終了)」







「噓だろ?」



副団長は絶望した表情をし



「はぁ~~、すっごくおもしろいですね~~」


ツルギはにっこりと笑みを溢し、高揚感を表に出さないようにしていた








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