第37話 ティティルのRWO配信



♦♦♦





『ティティルちゃーーーーん』

『次の日にもうRWO配信ってすげえなw』

『RWOの配信って聞いて』

『予約外れたから来ました、初配信よきよき』

『事前に予習してよかった』

『ガチ攻略って感じじゃないけど』


初配信の次の日の土曜日に枠が開かれ、昨日の初配信で虜になった妖精さん、そしてRWOという最新のVRMMOの配信ってこともあってそっち方面からも視聴者が流れてきている




「妖精の皆さーん、こんにちわ~、マーシャルコード所属Vtuberティティルでーーす!」


画面が切り替わるとそこにはRWOにログインしているティティルの姿があった


場所は誰でも入れるセーブポイントの宿屋の個室




「皆さん!今日はRWOをやっていきたいと思います!慣れない点はございますが、温かい目で見てほしいです!」



『ティティルちゃーーーん』

『待ってました』

『わくわく』

『RWOと聞いて』




「はい、えっと~、まずこのゲームについての説明と、RWO配信についての注意事項の説明をするように社長から言われたので説明するね♪」


「まずこのRWOなんだけど、今までのVRMMOと違ってもともとの身体能力も影響を受けるんだって、だからもともと剣の練習してた人はゲームでもその力を発揮できるの」


「実は私も弓を練習してるから、職業を弓兵(アーチャー)にしてるよ」



『さすがエルフ』

『ま?弓ってRWOでもリアル弓道ガチ勢しか使えないってレベルでリアルで作られてたのに』

『普通にすげぇ』

『でも弓か~~、どっちかっていうとアタッカーよりサポーターより?』

『ソロじゃきつくない?』



VRMMOをよく知っている視聴者からのコメントは驚きと心配で埋まる


今までいろんなゲームで弓の職業があったが、なかなか難しく、例え弓道でいい成績を収めてる人であっても、動く敵に狙って充てることは困難


結果としてパーティを組み、モンスターの意識を引き付けたりするサポーターとするのが普通となった


それこそ山で弓を使って狩りをするような人はこの世界にはなかなかいないし、いてもわざわざゲームで同じことをすることはない




「大丈夫、実は私、異世界ではたくさんのモンスターを狩ってきたから大丈夫だよ」


『海外でやったってことかな?』

『ディシアとガガルとパーティ組めばいけるか?』

『そろそろステータスとか見てみたい』



「あ、そうだったそうだった、じゃあ私のステータスを公開するね」


ティティルはコンソールを操作し、皆に見えるようにステータス画面を展開した




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■名前:ティティル


■種族:エルフ


■ジョブ:弓兵(アーチャー)


■性別:女性


■ステータス


Lv (レベル):3


HP (体力量):115


MP (魔力量):75



STR(攻撃力):33


VIT(防御力):16


INT(知 力):20


VIT(生命力):16


AGI(敏捷性):25


DEX(器用度):13


LUC( 運 ):10


割り振りステータスポイント:30




■装備


武器:卯月の弓(鉄級)


格好:弓兵の衣(石級)



■装飾

なし




■スキル


武器スキル:《遠射:Lv.1》《急所射撃:Lv.1》《弓当て》《》


魔法スキル:《隠密:Lv.1》《魔力矢生成:Lv.1》


生産スキル:


常時スキル:《矢筒:Lv.なし》



■称号

『世界初の弓兵』『最初の獲物』『孤高の狩人』



■加護

なし








装備級…………石級、鉄級、銅級、銀級、金級、エメラルド級、ラピスラズリ級、プラチナ級、ダイヤモンド級、アダマンタイト級、オリハルコン級




遠射……………弓用スキル、遠距離であればあるほどダメージ量増加


急所射撃………弓用スキル、クリティカルヒット率上昇、クリティカルヒットダメージ量増加


弓当て…………弓用スキル、弓を振り回して戦う弓兵唯一の近距離スキル


隠密……………ほかの生き物から気配を探られずらくなる


魔力矢生成……弓用スキル、MPを消費してその消費したMP分ダメージ量を増加する弓を生成、MP上限なし、作成数制限なし


矢筒……………弓兵のみ使用可能スキル、矢限定のアイテムボックス、上限なし




世界初の弓兵…このゲームで初めて弓兵になったプレイヤーに贈られる称号


最初の獲物……誰でも最初に弓でモンスターを倒した場合に贈られる称号(パーティの場合一回でもダメージを与えていればよし)


孤高の狩人……最初から最後までソロでモンスターを倒した場合に贈られる称号(途中から第三者が加入した場合は送られない)




□□□□□□□□□□□□□□□□□□□








「こんな感じです、実はもうレベル3までレベル上げしたの!」


『へ~~RWOってこんな感じなのか』

『割り振りステータスポイントはまだ割り振ってないの?』

『隠密があるあたりガチ感やばい』

『調べたら遠射って相当遠くないとダメージないらしいけど大丈夫?』

『あれ?この孤高の狩人って称号やばくない?』

『狩り経験あるって言ってたし最初の町近くにいるモンスターならいけるでしょ』




「割り振りステータスポイント?あ~実はこういったのって迷っちゃうんだよね私、リセットできるかまだ分からないし、方向性が決まるまでは貯めていようかなって感じなの」


「孤高の狩人は最初の町近くにいるウサギやスライムのモンスターを何体か倒したら手に入れたよ、そのおかげで素材がたまって【卯月の弓】を作成してもらえたんだ~」


「格好?防具だと動きずらいから初期装備のままだよ?狩りで避けるのも慣れてるから」




『わかる~~~、俺も迷って割り振らないから』

『俺の場合割り振らずにそのままやってて最近まで割り振りポイントのこと忘れてたことがあった』

『もう武器の生成したのか』

『さすがティティルちゃん!』



「さて、事前にやっていたことの説明は終わって、あっ」


説明事項の確認をしていたティティル、とあることを思い出し慌てて説明する



「えっと、このゲームではクランを結成することができるんですが、私はどこかのクランには入らず基本ソロでやっていきます、本当はディシアさんやガガルさんとクランを結成したいんですが、RWOは一人分しかないですし、事務所所属なので下手にほかのクランに入れないです」


「あと、自分からクランを結成することもないです、最大40人くらいだったはずですが、私はそんな人数をまとめる余裕がないので!」



『了解!』

『まあそうなるか』

『クランのもめごととか大変そうだし』

『アイテム貢ぐのはあり?』


「え?アイテムを貢ぐ?う~~ん、それはまだわからないので、後で社長さんとお話ししますね」




その後、数十分くらい視聴者との質疑応答を行った




「それじゃあ質問コーナーは終わり、これからフィールドでモンスターと戦っていくよ」


『きたーーー!!』

『ついに来た』

『わくわく』

『ティティルちゃんがどういったプレイをするのか』





ゲーム内の撮影用ドローンを自動追尾モードに変更し、宿屋から移動する



「町の名前とかは実際にやってみてから自分で確認してね、説明するときりがないし」



中世ヨーロッパの田舎町のような始まりの町からフィールドに移動。街道から離れた平原、モンスターの出るスポットに移動すると人間基準の遠目にちらほらモンスターが見える



「実はこのゲームはモンスターが最初からポップしてるらしくて、遠距離からでもモンスターを見ることができるんだよ」



『プレイヤーが来るたびにポップするわけじゃないのか』

『弓兵への救済?いや偶然か』

『まあ敵の状況を安全な遠くから確認できるのはいいけど』

『遠くに何か豆粒レベルでしか見れないけどモンスターいる?』




「そうそう、あそことあそこにウルフの群れがいるよね、ほかのゲームだと近づかないと出てこないけどこの距離から出てくれると助かるの」



『この距離なら確かに遠射の効果倍増するしね』

『ん?』

『え?』

『え、ちょっと待って、今なんて言った?』

『え、ティティル見えてるの?』

『もしかしてスキル?』

『いや調べたけど視覚を強化するスキルは今のところないぞ?』

『ないと思うけどチート?』

『ない、このゲームでチートするのは無理、運営でがちがちにアンチチートプログラム組んでるし』

『まあ目がいいのは海外にいるだろうし、狩りで目が強化されたとか?』

『↑なるほど!』

『ガチ狩人か』

『マーシャルコード所属Vtuberはいろんな意味でヤバかった、ティティルちゃんも例外じゃなかったのか』





「んん?よくわかんないけど、とりあえず今からあの群れを倒していくよ」


『この流れはもしかして』

『弓兵で群れはきついだろ』

『いやな予感がする』

『あ』




「【遠射】【急所射撃】」


ティティルはスキルの矢筒から今まで貯めてきた矢を弓にセット、弦を引き狙いを定める




『まじかよ』

『いやいや当たるわけ』

『え、ここから狙うの?』

『無理無理、リアルだと何キロあるのか』



そのコメントを気にせずに集中するティティル








「っ!」



ぱっと矢を射出する、矢は獲物に向かってぐんぐんと加速し、途中【遠射】のエフェクトが重なる




30秒もしたうちの矢はウルフの群れに届き




〔ぐぎゃ!!!〕


ざしゅッという音とともに、群れの中でひときわ大きなウルフの眉間に矢が刺さる




刺されたウルフはよろめき倒れると体がポリゴン上のエフェクトに変化し、消滅する








【グレートウルフを討伐しました】

【レベルが8に上がりました】

【グレートウルフのドロップアイテムを手に入れました】

【称号『最強スナイパー』を手に入れました】

【称号『上位種初討伐』を手に入れました】

【スキル『カタストロフレイン』を手に入れました】



最強スナイパー………3キロ以上遠距離からの攻撃でモンスターを倒した場合贈られる称号


上位種初討伐…………一番最初に上位種モンスターを討伐した場合に贈られる称号



カタストロフレイン…弓用スキル、一つの矢にMPを込める、射出したら込めたMP分矢が分裂する





次の矢を構えるティティルと撮影用ドローンの前に、討伐報告の画面が表示される





「あ、さっきのグレートウルフだったんですか」




『いやいやいやいやいやいやいやいや!』

『待って、待って!!』

『嘘だろ!?』

『これ偶然って言えない神業だろ』

『3キロ!?』

『やっぱりマーシャルコード所属Vはやばいやつの巣窟なんだ!!』

『しかも一撃だし』

『ワイプレイヤー、グレートウルフってウルフの上位種でレベル10だからまずレベル3で勝つのむずいし、しかも一撃って無理』

『自分もプレイヤ―なんだけど、掲示板で攻略班がどうやって討伐しようかって話し合ってたんだけど、えぇ?』

『ティティル無双キタコレ!!!』

『おかしい、俺はかわいいティティルちゃんを愛でに来たのに、今目の前にあるのはガチ狩人のエルフだった』

『これが、本物のエルフか』

『確かにガチのエルフみたいじゃん』

『いやエルフでも普通この距離はあてられないだろ、わかんないけど』

『今クランメンバーから教えてもらったけど何があったの?』

『グレートウルフがワンパン』

『遠距離から一撃』

『はぁ!?いまグレートウルフの攻略どうしようかって話してたのに』

『↑お前攻略班かよ!』

『攻略班お疲れ』





「えっと、カタストロフレインか、とりあえずやってみるか」



ティティルはコメントを気にせず、新たに手に入れたスキルに意識を向けていた


そしてグレートウルフの周りにいたウルフに向けて構える





「カタストロフレイン」


スキル名を唱え、MPを消費する





狙いを定め、シュッと射出








同じように遠射】のエフェクトが重なり、そこからいくつもの矢に分裂




〔ぐぎゃ!〕〔きゃん!〕〔わぐっ!〕〔ぎゃぁぁ!〕〔うがぁぁぁ!〕




すべてのウルフに矢が当たり、スキルによってそこ上がりしたダメージ量の暴力によってすべてのエルフはポリゴンに変わり消滅





【ウルフを討伐しました】

【ウルフを討伐しました】

【ウルフを討伐しました】

【ウルフを討伐しました】

【ウルフを討伐しました】


【倒したすべてのモンスターのドロップアイテムを手に入れました】









その光景を目撃した攻略班のメンバーはこう思った


『やばすぎる、意味が分からない』







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