第30話 ガガルの案件配信と狙撃王



♦♦♦



『案件配信だーーーー!!』


『やっぱ酒!酒はすべてを解決する』


『にしても早かったな』


『最速ってほどじゃないけど結構早いほうだよ』




「見習い騎士諸君、聖騎士長ガガルだ」


「本日は案件配信なんだが、本当に俺でいいのか心配なんだが」



『大丈夫です!』


『いい飲みっぷりだから大丈夫』


『緊張してるw』


『聖騎士長、戦う以上に緊張してそうw』



「さて、今回は【近郷酒造】さんの日本酒の紹介をするのだが、解説として【近郷酒造】の4代目社長【近郷蒼次郎】殿が来ておられる、蒼次郎殿、よろしく頼む」



「はい、【近郷酒造】4代目社長【近郷蒼次郎】です、よろしくお願いいたします」




『社長さんきたーーー!!』


『近郷酒造って日本酒のところじゃん』


『いつもお世話になっております』


『日本酒がうまいところじゃん!』




「ほう、コメント欄では結構人気なようですね」


「それはよかったです」


「これは今回のお酒が楽しみで仕方がないですよ」


「ご期待にお応えできるように頑張らせていただきます」







画面が切り替わるとガガル恒例の手元が映る画面



「今回紹介するのは【近郷酒造】さんの新商品【純米吟醸酒:聖矢】です」


一升瓶が画面にドンと映りだす


「無知をさらすようですまないが、純米吟醸酒とはどういったお酒なのだろうか?」


「お答えしましょう」



そこから詳しく説明がなされ




「なるほど、では早速いただきましょうか」


「ではどうぞ」


「いただきます、っごくっ」



「ん~~~、いい、すうっと喉を通っていく感じ、まよらかで優しい感じ!」


「ありがとうございます」


「く~~~~、今まで量の多いビールばかり飲んでましたが、少量でここまでおいしい日本酒には感服します」


「そこまで行ってくださるとは、ありがとうございます」




『うまそうに飲むな~~~』


『え、いくら?買いたいんだけど』


『のみて~~~~~』


『聖騎士長もうおかわりしてるw』




「っは!器が小さいからもう4分の1も飲んでしまってた!」


「さすがガガルさん、酒豪ですな~」


「いや~それほどでも、そういえばこの【純米吟醸酒:聖矢】の詳細について」


「承知しました、視聴者の皆さん、【純米吟醸酒:聖矢】の販売価格や販売開始日につきましては………………」












♦♦♦



後日、【純米吟醸酒:聖矢】の売り喘げは好調で、社長の近郷さんからも感謝の言葉をいただき、お礼に【純米吟醸酒:聖矢】を含めたお酒数種類が届いた






























とある異世界



そこは森のなか,一つの巨大な樹を中心にいくつもの樹と樹に足場を繋げ、ツリーハウスの中で暮らす森の民



住民は金髪が多く、耳が人と違って尖っている


種族は人間ではなくエルフ、森と共に生き、弓の腕を常に磨く種族






そのエルフには長く続く習慣があり


【一年に一番のお祭りで遠くにある鋼の的のど真ん中に綺麗に貫いた一人を異年間王にする】というもの


弓の技術がすべてのエルフにとって一番遠くに正確に命中させるものは崇め奉られる




そんなエルフの国にて【250年】王を続けてきたエルフがいた










その王は現在、子供のエルフに弓の授業をしてた



「そう、落ち着いて、弓を持つ手が揺れないように固定して、的がどこにあるかしっかりと見るの」


「ん~~~、えい!」



子供が放った弓は的に届かずに地面に突き刺さる




「う~~~~~、難しい!」


「大丈夫、今の弓の向きだとそうなるなら角度を変えるの」


「わかった!」


子供は体内のエネルギーのようなものを矢の形にする



エルフは自身の魔力を消費して矢を生成できる



「ティティルしゃま、こう?」


「もう少し角度を上に、そうそうその調子、それで打ってみて」


「えい!」


先ほど打った矢より遠くまで飛び、初心者用の的の下に落ちる



「うんうん、先よりいい感じ、ここからは少しの微調整だから、何度も打っていこうか」



「はーーい」






説明を終え、いったん休憩しようとしたところ、初心者訓練場にエルフの大人が走ってくる



「ティティル様!緊急事態です!!」


「ん?どうしたの?なにかモンスターがきた?」


「はい、ロック鳥が現れました、兵も対処していますが弓のあたらない距離で我らをあざ笑うように!」


「被害は?」


「今のところはありません、ロック鳥がまだ本気を出していないのでなんとか」


「わかった、急いで向かう」


「承知」


二人は迅速にロック鳥のいる場所に向かう








「グルルァァァ」




「くそっ、届かない!」


「高台に上ってもダメか!」


「あいつわかってて挑発してるんだ」


「避難はすんだか?」


「ロック鳥は肉食でもある、エルフも貪り食うぞ」


「ティティル様が来るまで持ちこたえるんだ!」






ロック鳥は肉食のモンスターであり、空を飛び外皮が固く、普通のエルフの弓でも当たってもそこまでダメージは入らない



「ごめん、遅くなった!」


「ティティル様!」



王であるティティルの到着に兵たちは安堵する



「ティティル様、ロック鳥までの距離は4Kmほど、我々では届きもしません」


「大丈夫、離れてるって油断してる今がチャンスね」




ティティルはエネルギーを形にして弓を出す


形は子供や兵の使う弓とは見るだけでわかるほど派手で煌びやかな弓






ティティルが矢を生成すると、先ほど子供が作成した矢と違い、見るからに緑のオーラを纏っている



「【ユグドラシル・ブランチ】(世界樹の枝)」



弓を構え、すぐさま矢を放つ


矢は早く、ロック鳥自身が刺されるまで気づかないほど




「グルルァァァ!!!?」



矢は翼に刺さると、そこから木の根が伸び、ロック鳥の全身に絡みつく


少しすれば飛べなくなり、落下する






「よし」




「おーーーー!」


「ティティル!」


「さすがティティル!」




「空いてるものはすぐにロック鳥の確保に行くぞ」


「はい!」





その後、ロック鳥は捌かれ、エルフたちの晩御飯になりました




そんな狙撃王が存在する世界





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