第11話 土御門正弥




こんにちは、自分の名前は土御門正弥、龍錬くn、社長と一緒に『マーシャルコード』を立ち上げたメンバー、まあほとんど社長が立ち上げたんだけど



元々アニメやVtuberが好きなオタクだったし、いつかVtuber関係の仕事に就きたかったから社長に誘われて即OKを出した



姉さんも会社に加わってからはいろいろあった



社長が貯めてた金をどばっと放出し、ハイスペックの機材と環境を整えていった


その時はワクワクが止まらなかった


これからいろんなVtuberを支えていく仕事ができるんだと




でもそう簡単にはいきませんでした




ライブオンリー一強のこの時代に新入りのVtuber事務所は相手にされなかった


まず中の人になるタレントが来なかった



Vtuber事務所なのにVtuberがいない、そのせいで絵師さんやLive2d製作者さんたちにも相手にされなかった



環境は最高にそろえたのに新興事務所っていう点で躓いてしまった




一ヶ月が過ぎると社長が


「俺がVtuberになってこの事務所を宣伝する」


と言い出した




「絵が描ける鏡花さんはVtuberの絵を、正弥はLive2dの作成だ!」


そして自分は未経験のLive2dの作成に挑戦することになった








超しんどかった






いろんなVtuberを見てきたからこそ、そして今挑戦してみたからこそ、世に出てるLive2d製作者、パパと呼ばれる人たちのヤバさが理解できた




本屋で買った本片手にやっても不自然な挙動をするロボットみたいな感じになる



目が肥えてる分自分の作ったもののゴミ加減がわかる



社長は「宣伝用のなんだしそこまでクオリティ高いの求めてないぞ、そこまで根を詰めなくていいんだぞ」


と言ってくれた



でもどうしても納得できるものができなかった









Vtuber黒森龍錬の始動したときもその時一番の仕上がりにしたけど、自分のLive2dが足を引っ張ってるように見えた





どんどん新しいバージョンに更新しても納得できなかった



そこから姉さんにいろんなVtuberの肉体を書いてもらい、その肉体ごとにLive2dを作成し続けた




目の動き、指の関節、様々な表情、


まだまだ



髪の自然な動き、大きく動いても腕や髪が崩れない演算、キャラごとのエフェクト


まだまだ





まだまだ、まだまだ、まだまだ、まだまだ










ようやく納得できる仕上がりにできたのはディシアちゃんのLive2dでだった



この時はようやく世間のLive2d製作者さんたちと同じ場所に入れた!って喜んじゃった



今思えば僕なんてまだまだだけど、マーシャルコードのみんなの役に立てるのが凄くうれしい





よし、ディシアさんの次に入ってくるタレントさんに備えてもっと研究しようっと


























〇ライブオンリー社長室


「やはりすごいね、マーシャルコードは」


ディシアのアーカイブを見ながら社長の糸日谷狭間は感心したようなことを言う



「ディシアちゃんじゃなくてマーシャルコードがですか?」


そしていつも社長のそばにいるたVtuber「天使坂 ウリエ」の中の人で、名前は春日部莉緒(かすかべりお)が不思議そうに質問する



「まあディシアちゃん自身もすごいけど、今回気づいたのはそこじゃない」


「え?どこですか?」


「このLive2Dのクオリティの高さだよ」


「Live2Dのクオリティ?うちのVtuberのとそんなに変わらないと思いますよ?」


「本当にそう思うかい?」


「え?」


そういわれてみてみるが、まあよく動くなぁ程度にしかわからなかった



「ディシアちゃんはあまり大きく動かないからわからないけど、指の関節や髪パーツごとの自然な動き、首を左右に振っても物理演算が狂わない、特に有名になった魔王発言の際も、中の人の声の迫力もだけど、その魔王らしさを視覚でも理解させられる表情のクオリティも要因の一つだと思うよ」


「そんなに違いあります?私にはそこまでわかりませんが」


「まあLive2d自体が絵や中の声に比べてあまり目立たないってのもあるけど、少したしなむ人ならこのちがいにわかるかもね」


「へ~~、それにしてもマーシャルコードさん、一人目だからクオリティの高いパパさんを雇ったんですかね?」


「かもしれないね、それとも」




「無名の大物を隠していたか、さすがですね黒森さん」









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