第7話 落ち着いた日常
初配信のあと
「うまい!うまい!このかれーらいすという料理は最高じゃ!!はふはふ」
ディシアが召喚されてから俺たちは事務所で食事をすることが多くなった、住み込んでるディシアや近くに住んでる俺たち3人は休憩室で朝昼夕の食事を済ませる
ディシア一人じゃどうなるかわからないってのもあるが、ちゃんとした会社と違って知り合いで始めた会社だから緩いからってのもある。
キッチンもあるからその時々に調理ができるし、レンジもあるからレンチンで済ますこともできる。事務所の下はコンビニだしな
ちなみに今日の調理担当は正弥だ
「よかった~~、中辛だけど大丈夫?」
「うむ!このピリッと来る感じもよいの~~、それにしてもかれーにもたくさんの種類があるのじゃな!」
「そうだね~、詳しくは知らないけど細かく見ていけばたくさんあるはず」
「カレーナンとかもいいよな」
「私はグリーンカレーとかもいいと思うわ」
「なんと!どれも気になるではないか!!」
今では4人で平和に食事をする中になった
食事を終え、一息ついた後
「ディシア、初配信は大成功だ、正直思った以上にファンを獲得することができたぞ」
「うむ!わらわは魔王ぞ!」
「正直跪けって言ったときはビビったが、逆にいい効果だったらしい」
「ファーストコンタクトは相手になめられないことが肝心だからの、元の世界ではそうでないとよく絡まれたから」
「そ………そうか、配信では今後もその感じで行ってほしい」
「うむ、承知した」
最初は発言内容を変えさせようと思ったが、エゴサをすると面白いことが分かった
リアルタイムであの発言を聞いた全員が跪き、ディシアを推し、さらに崇拝する信者になる者もおり、逆に聞いたものの中でアンチが出てこなかった
おそらく畏怖というか、漫画でいう強者を前に逆らえない状況に近いのかもしれないが
推さなくても崇拝しなくてもアンチなど行おうとする勇者は存在しない
実際最初の配信は低評価が0である。
実際アンチがいないわけではないが、それは動画を見ずに批難するやつばかり
「低評価0、どのVtuverでもこれを行えるやつはいないだろうな」
「トップVでも0ってのは見たことがないよね、まあ今は低評価が外から見れないけど」
とりあえず、一人目からずっこけることがないので一安心だ
「なあ龍錬、気になってることがあるのじゃが」
「ん?なんだ?」
「配信する前からいっておった『あんち』とはなんじゃ?おぬしの動画を参考に見せてもらったがなぜあのようなことを言うのかがわからんのじゃ」
「あ~~」
ディシアには配信関係を教える際、アンチとセクハラコメントについて説明したが、こういうのがあるよ程度で済ませていた
「セクハラコメントというのは、まあ生物はみな性欲を持っておるから理解は、したくはないができてしまう、じゃがアンチは理解できんのじゃ」
「なるほど」
俺がうなずいていると正弥が意見を言う
「単純に嫌いだからじゃないですかね」
「ではなぜ嫌いな相手に何度も執着するようにコメントを書き込むのじゃ?嫌いならば配信すら見なければよいのに」
当然の疑問だ、普通自分が嫌いな相手には距離を取りたいものだ
「ただの自己満足よ、アンチコメントを書いてすっきりしたいだけのね」
と鏡花さんは言う
「ふむ、自己満足………龍錬はどう考える?」
「まあその前にだが、ディシアの世界と俺らの世界、特に日本の違いがある」
「違いとな?」
「ディシアの話的に、ようやく戦争が終わってこれから平和になるって感じなんだろ?でっこっちは平和の真っただ中だ」
「その違いの何が関係があるのじゃ?」
「根本の問題として、発言の重みが違う」
「ほう」
「ディシア、殺すという言葉がこの平和な国では軽い悪口になっているが、ディシアの世界の殺すという言葉はそんな軽い言葉だったか?」
「いや、人間でどうだったかは知らぬが魔族では言えば殺されても文句は言えなかったぞ」
「だろうな、この国では基本正当防衛以外攻撃はだめだ、だからこそ攻撃されないとわかっているからどんな発言をしてもよくなり、特に自身の情報が見られないネット上では言葉の重みが軽くなる」
「なるほど………」
「そして次にアンチがなぜ嫌いな相手にわざわざ執着してアンチコメントをするのか、それは大本は鏡花さんが言った自己満足だ」
「やはりそうなるのか」
「アンチ行為は無意味な行為だ、おれも詳しくは理解できてないが、自分が言った悪口でVtuberが傷ついてスッキリだとか、学校や仕事でのストレスをアンチコメントで解消するだとか、誰に主張するわけでもなく自身の意見を正当化するためにVtuberを批判する」
「本当に、無意味というか無駄な行為じゃな」
「ディシアの疑問はいい着眼点だが、基本はあまり触れないほうがいいと考えている、こんな感じでいいか?」
「うむ!少しは疑問が晴れたぞ、感謝するぞ!」
ディシアはこのように何か疑問に思ったら質問してくれる
どれも元の世界にはなかったことだ、まあほとんど料理関係が多いが
ほかは政治的な仕組みとかについてや人間の行動について
ちょっとした疑問や深く議論する議題などを俺たち3人が教えたり議論したりする
別世界のディシアは本当に新鮮な考えを持ち、何か事務所に影響を与えないかと考えた
今回でいえばアンチについて改めて考えるなんてこともなかったが、Vtuber事務所としてはアンチ問題は切っても切り離せない、今のうちに話題が出てきてよかった
そして俺たちからもディシアに気軽に質問できるようになった
特に正弥はオタク心を全開にする
今日が掃除当番の鏡花さんは食器を片付けているとき、
「ディシアさん、そういえば初めて会ったときに出た騎士って魔術的なやつなんですか?」
「あ、俺もそれ気になってた」
「うむ?忠臣召喚のことかの?」
「そうですよ、最初はビビりましたけど今思えば超すごかったですし!」
「むふふ!そうかすごいか!超すごいか!そうじゃろそうじゃろ!!」
珍しく食以外でディシアが嬉しそうな表情を見せた
そんなにお気に入りの魔術なのだろうか?
「忠臣召喚はただの魔術ではない、我に魂をささげた忠臣たちを我の中から召喚する魔術じゃ」
「魂を」
「ささげた?」
「うむ、わらわが魔王として生きた間、我のために命をささげて戦ってくれたもの達、死に際にわらわと契約を交わすとその魂がわらわの中に格納され、不死身の戦士として召喚できるのじゃ」
「ってことはあの時出てきた騎士たちは」
「全員わらわの忠臣たちじゃ、ちなみに意識も残っておる」
「そ、そうなのか」
「うむ?何を暗い顔をしておる?」
「いや、思ったよりすごい話というか、やっぱり戦争のあった国だってことなんだな」
俺たちにとっては命をささげるなんてのは漫画の世界のセリフだ、だがディシアには現実の話なんだと理解した
少し考えていると正弥は恐る恐る聞く
「じゃあ、その、その人たちって呼ばれてない間ってどうしてるんですか?」
「わらわは見たことないのじゃが、わらわの中に異空間のようなものがあり、そこで暮らしておるそうじゃ」
「へ~~~そうなんですね」
「ちなみに忠臣は何人くらいいるんだ?」
もしディシアが許してくれたら忠臣たちにスタッフ的な雑務を任せたりしたいし、100人と書いたらVtuberタレントになれそうな人もいそうだし
「数か?最近は数えておらんかったからの~~、えっと」
そこからディシアが忠臣の人数を話した結果をいかにまとめると
ちなみに∞は数えきれないほどいるという意味だ
ナイト∞
アーチャー∞
ソーサラー∞
マジシャン∞
アサシン∞
ゴーストエッジ∞
ゴーレム∞
アルケミスト∞
鮫騎士∞
オーガ∞
アマゾネス∞
呪術師∞
ワイバーン∞
ドラゴナイト100
ゴルゴラミア100
クラーケン100
ポイズンスパイダー100
リヴァイアサン10
地脈龍10
リッチ10
デウスエクスマキナ3
デーモン・ザ・セイバー3
知将悪魔ベルゼ 1
剛火龍イグニス 1
千刃将軍バサラ 1
色魔女王リリラ 1
「おおい!?」
「というかすごい名前がたくさん出てくるじゃないですか!!」
「かかかか!!驚いたろう二人とも」
桁が違いすぎる、最近忘れてたがディシアは正真正銘ガチの魔王だった
「リヴァイアサンとかデウスエクスマキナとかラノベで聞いたことあるのがたくさんあるし」
「ディシア!もし何かあってもなるべく強い忠臣は出すな!この世界じゃナイトでも過剰戦力だしリヴァイアサンで国家転覆できるから!」
「わかっておる」
正直ディシアはこの世界の常識をすぐに理解した、だからこの力を使うことが世間的に危険なことはわかっているだろうが一応釘を刺しておく
「ちなみに忠臣をVtuberにするのはお勧めせんぞ」
「え?」
「忠臣召喚では、約1カ月の期間は同じ忠臣を召喚できない、さらに言えば同じ忠臣を召喚し続けるのは1週間が限界じゃ、戦力としてはあまり気にはしないのじゃが、毎日配信したほうがいいといわれるVtuberにはむかんじゃろう」
「魔術にそんな縛りがあるのか」
「いや、縛りというかの、忠臣たちが決めたルールなのじゃ、同じ忠臣を召喚し続けるのは不公平じゃからとな」
「あっそういうこと」
俺もあちらの世界について話を聞くのが楽しくて時間が許すまで語り合う
いつかディシアのいた世界に行けたら面白いかもな
そんな感じで、平和に時間が過ぎていく
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