第2話 黒森龍錬の配信、それと魔王は
「ようお前ら!マーシャルコード社長の黒森龍錬だ!!」
『きた!』
『応募0件社長じゃん』
『待ってました!!』
『初見です』
「お!初見さんいらっしゃいっておい、初見さんいるのに応募0件社長っていうんじゃねぇ!!」
『この様子だとまだ0件か』
『ライブオンリーがいるから』
『あそこと比べるのは酷でしょww』
『wwww』
「くっ~~~!!!ごほん、とりあえず恒例のあいさつ、初見さんもいるし自己紹介でもするか」
「俺の名前は黒森龍錬、Vtuber事務所マーシャルコード社長だ」
「俺はこのマーシャルコードをいろんな人に知ってもらうために本名でVtuberをやっているぞ」
『本名?』
『マーシャルコードのサイト見たら名前と顔載ってるぞ』
『まじじゃんww』
『え?大丈夫なん!?』
「社長って顔を売ってなんぼだからな、まあ今は顔を隠すVtuberしてるがな」
『えぇ………』
『矛盾してて草』
「そしてこのチャンネルの目的はもちろん売名、男女経歴問わずVtuberのタレントを募集しております!!」
『でもまだ応募0』
『誰か応募してやれよw』
『で、今日は何すんの?』
「おっとそうだな、今日は最近はやりの『大乱闘ブレイクブラザーズ』を視聴者参加型でやっていくぞ!!」
『ブレブラじゃん!』
『今取ってくる!!』
『なんのキャラ使うんですか?』
『勇者最強!勇者最強!』
「タイマンでいいか?8人戦だと俺以外の戦いを長々とみることになるから」
『タイマンだぁぁ!!』
『おk』
『ぼっこぼこにしてやる』
『何回か負けたら罰ゲームとかねえの?』
「あっそうだな、確かに何もないと面白くないしな、配信時間は1時間で一試合5分にしてだいたい12試合か、なら12試合中6回負けたら罰ゲームだ!」
『半分か』
『罰ゲームの内容は?』
『激辛麻婆でしょ』
『耐久配信』
『ビリビリペンとか』
「お前らなんでやべえやつしか出さねえんだよ!」
「ってもそうだな、男は度胸!!負けたら激辛麻婆豆腐だ!!」
『おぉぉーー!!!』
『言いやがったwww』
『そして明日大変なことのなる社長であった』
『お疲れ様でした!』
『お大事にwwww』
「負ける前提かよ!!まあお前らはそのほうが面白いか、だが残念!おれは生き残って冷蔵庫にあるバニラアイスを食べるんだ!!」
『準備できた』
『ひーひー言わせてやる』
『ww』
『即落ち二コマの予感www』
「ルームもできたし、やろうか!」
【視聴者参加型】ブレブラ配信
最大同時視聴数:約2034人
高評価:340
低評価:198
黒森龍錬チェンネル
チャンネル登録者:2500
龍錬の配信後に投稿された切り抜き動画
【切り抜き】悶絶!!黒森龍錬、罰ゲームで10辛麻婆豆腐を食べるww
「やばいやばいやばい、これなに辛だよ!」
『ツイートされてたの見たけど真っ赤すぎwww』
『もう芸人レベルじゃんwwwww』
『一気!一気!』
『一気!一気!ww』
「馬鹿野郎!殺す気かお前ら!!うっ、においでもうやばい」
『おいはよくえよ』
『まだーー?』
『↑お前ら鬼かwww』
『一思いにいったれwwww』
「ぐっ、自分で言ったんだもんな、これで応募者が増えてくれるなら!!」
画面上には見えないが龍錬の目の前にある地獄の様に真っ赤な物は食べ物とは思えない
「い、いくぞお前らーーー!!!」
『いったーー!!』
『味は?』
『さあどうなるか』
『w』
「かっっらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」
『wwwwww』
『めっちゃいい反応ww』
『最高ww』
「やばいやばいやばいやばいーーーーー!!!!」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「ぐへっ、あ~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!」
そこから龍錬は椅子からも倒れ、悶える音声を配信し続けた
とある世界
魔王ディシアが参加したパーティー、国王と平和な未来について語り合っていた時にそれは起こった
ガシャンっとパーティー会場のガラスが割れ、そこから多くの暗殺者のような男たちが入ってくる
「きゃ~~~!!!!!」
「な、なんだ!?」
「うわっ!!」
数は多く、会場にいた参加者全員を取り囲むことができた
「な、何者だおぬし等!!!」
国王は率先して声を上げる
その声に反応してリーダー格と思われる男が
「我々の目的は魔王ディシアの命のみ!」
「なんだと!?」
この平和をもたらしてくれたディシアを殺そうなどと
平和を愛するものとしては理解できない
「かかか、なるほどおぬし等傭兵か戦争屋のものかの~~、そりゃぁ平和になったら出番がなくなるからの~~」
「ふん………話が早いな魔王、お前が余計なことをしたせいで俺たちの居場所はなくなった!!」
「なら魔物でも狩っておればよかろうに」
「ふざけるなよ貴様、俺たちが冒険者の真似事をしろとでもいうのか!!!」
二つある玉座のうち一つから暗殺者を見下ろすディシア
「ここにいる参加者全員は人質だ、余計なことをするなよ」
暗殺者全員が剣を抜き、言われればすぐにでも人質を殺すことができる
「ぬ~~、貴様らっ」
国王は人質を前に何も手を出せないでいる
「ほ~~?我に命令するか」
だが魔王ディシアは立ち上がり、歩き出す
「ディシア!」
「安心せい、人質は誰も傷つけさせん」
「………情報が欲しい、相手もできるだけ生け捕りで頼む」
国王は魔王が人質を気にしないかと少し思ったが、魔王はそれを察していて今のような発言をした
「ほう、この数相手に人質を傷つけず一人で?、言っておくが会場周りの護衛はすでに始末してある、救援は来ないぞ?」
「そのようなもの必要ない、わらわ一人で十分じゃ」
「ぶっはははははっ、戦争から逃げた魔王が何を言っている!」
『ははははは』
暗殺者全員は身震いさせながら笑う
「なんじゃ、まさかおぬし等儂が弱いから戦争をやめようと動いたと思っておるのか?」
「そうだろう、強ければ魔族は侵略してくるはずだ、お前みたいな臆病な魔王なぞ恐るに足らん!ここで首を落としてまた戦争を起こすのだ!!!」
暗殺者は慢心していた、今回の魔王は雑魚だと、戦争から逃げた臆病者だと
だが違う
「かか、馬鹿が」
瞬間、その空間にザシュっという音が聞こえた
「へ?」
「え?」
リーダー格、そして周りの参加者も静かに驚いた
次に聞こえた音は固い物体が落ちた音と小さい肉のようなものが落ちた音だった
「え………おっ……おぉぉぉ!!」
突如リーダー格の男は叫んだ
「俺の手がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
振り返ったリーダー格の男の手を見ると、本来あったはずの右手が切り取られ、断面からはドロドロと血が流れ出る
「な、なにが起こてるんだ!!?」
他の暗殺者も狼狽していたがそれは手を切り取られたこと事態に関してではない
リーダー格の男も今までの戦で腕が落ちることもあった、魔法があるこの世界では治せるのでそこまで恐怖はない
しかし何故か手が切り落とされた、多少の魔法の知識はあるがこんなことできる魔法は知らない、逆に剣やナイフなどを使ったとしても自分とディシアとの距離はまだ遠い、仮に投げナイフの様にしたとしてもこうもきれいに切り取れない
それは暗殺者だけではなくパーティー参加者も怯えた
「ただの風魔法じゃがこの程度で驚きよって………そうじゃ…パーティー参加者の諸君、怖がらせてすまない」
するとディシアは語りだす
「まさかここまでわらわのことをなめられておるとは思わなかった、じゃがわらわが力を見せてこなかったことがすべての原因」
するとディシアの周りに黒いオーラが漂う
「ここでわらわの力を一つ……みせてやろうかのう」
オーラは形を変え、いくつもの人の形になり
そこ形に色が加わり、
【Dedicate one's allegiance Legion】(忠義を捧げし我が軍勢)
いくつもの戦士たちになり、そこから動き出す
「なっ!?どっから増援が!?」
「魔術か?」
「こんな魔術見たことない!!」
この世界の人間にとって一般的な魔術とはよくあるファイヤーボールなどの属性魔法やちょっとした回復魔法など、ゲームで出てくるような魔術などである
このような魔術は見たことない
「構うな、やることは変わらない、人質を……なっ!?」
リーダー格は振り返り、人質を殺すように命令しようとした
だが
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「急に、急にあいつが倒れて、ぐあっ!」
「なんだこいつら、お、おれの、おれのそばに近寄るなぁぁ!!」
「なっ、なんだ!?」
振り返ってそこにあったのはこちらにとっての絶望
暗殺者たちと人質の間に立ち、大きな盾を構える黒一色の騎士たち
さらにその騎士たちの前で暗殺者たちをそこ硬い体で捕獲していく黒曜石でできたようなゴーレムたち
ところ変わってパーティー会場の二階から正確に相手の体を射抜く黒い衣を着たアーチャー
「ナイトとアーチャーとゴーレムだけでよいか、もっと強い忠臣たちを見せてもよかったのじゃがの」
暗殺者たちは殺されはしないものの何もできずに捕獲されていく、最も最低限会話ができる程度までは手加減しない
「な、何だこの力っぐはっ!?」
「かか、国王にしか説明しておらんかったな、この力はわらわに忠誠を誓い、わらわにその身を捧げ、死すこともできずわらわの駒になることを喜んで申し出た者たちを呼び出すというもの、呼び出されたものの力はわらわの魔力に比例した強さを得る、まあこの力は数ある力の一つじゃがな、かかか」
「やはりすさまじいですなディシア」
「そうじゃろうそうじゃろう、おっとそうじゃ、ちゃんと暗殺者を捕縛しておかねば」
少し時間がたてば、暗殺者たちは捕縛され、ようやく来た増援の騎士たちに牢に連れていかれる
人質たちは傷一つ付いていなかった
「おぉぉぉ!!」
「ディシア様素晴らしい魔法でしたわ!」
「さすが平和の象徴!!」
人質から解放されたパーティー参加者はみなディシアを讃えた
「なぁ、あの騎士たちって多分だけど全体のひとかけら程度だよな?」
「おそらく数千数万といるだろう」
「今まで通りに戦争になったとしたらどうなったと思う?」
「………………」
「………だよな」
一部ではディシアの力を考察し、今の平和が奇跡であると確認させられる
「安心せい、わらわはこの力はほぼ使うことはない、これからは人間と魔族の民の力だけで平和なこの世を支えてほしい、わらわ頼りだとわらわが死んだり行方不明になったら平和が崩れてしまう」
「そうですな」
「平和になったのにさらに頼りっきりになるわけには行けませんわね」
「我らが奮起せねば」
一度平和にしてもそれを保とうとしなければすぐに崩れる
幸い、今の民たちは平和を望み、国も平和を守るために動く
例えディシアがいなくなったとしてもこれから数百、数千年は平和は続くだろう
「かかか、やはり平和が一番じゃ」
とてもいい雰囲気でこれからのことを考えていた時
その空気を壊すようにそれは起こった
「んむ、なんじゃ!?」
「なっ!?」
ディシアの足元に誰も見たことがない魔法陣が現れる
もちろんディシアも知らない
その魔法陣が上に移動するとディシアの体はその魔法陣に飲み込まれるように消えてく
「ディシア様!!」
「これは転移?召喚?まさか暗殺者たちの」
「ディシア様、今救助を!」
「近づく出ない!巻き込まれるぞ!!」
「なっ、ぐうっ」
もう魔法陣はくるぶし当たりまで上がっており、ディシアでもわからない状況に
他の者たちはどうすることもできない
「聞け!国王よ、そして他の者たちも、わらわはどこかに、最悪の場合別の世界へ飛ばされてしまう!!」
「そんなっ………」
魔法陣は腰まで届き
「だがこれで死ぬわけではない、何年、何十年、何百年たとうとも我はこの世界に帰ってくることはできるはずじゃ」
「ディシアさま………」
「わらわが帰ってくるまでこの世界を………平和を………守ってくれ、帰ってきた時平和がなかったら悲しいからの」
「………っ!、わかった、我はこの国の王としてこの平和を守り抜くと誓いますぞ!!」
「うむ、頼んだぞ」
そして魔法陣は首まで届き、ディシアは不安にさせまいと活気ある笑顔を見せ
そして魔法陣とともに消えた
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