【訂正前 02:12】①俺を嫌っている義妹を庇って死んだ。そして魂になったからもう遅い

激 辛

第1話

俺は学校で虐められている。

 

 正直本当に辛いからやめて欲しい。

 今日もクラスメイトに道具を隠されて、悪口を言われる。


 俺に一番悪口を言ってくるのが、同い年の義妹である。

 「アンタさ、一応兄なんだからしっかりしてよ。」


 「・・・ごめん。」


皆の前で義妹に謝る俺を見てクラスは爆笑に包まれた。


 放課後になり、俺は誰よりも先に帰る。


 だけど、忘れ物をして戻る。


 義妹とクラスメイトの笑い声が聞こえる。

 「今日もありがとうね。」


「良いってことよ、」


「アンタ達のお陰で今日もみっともない面白い兄貴の姿を見れたよ。」


そう、俺はみっともなく笑いの道具にされる兄だ。


 道具を取ろうと思ったけど、諦めて帰ることにした。


ーーーーーーーー


 「ただいまー」

誰も返事をしない。


 お母さんが帰っている。


 「またチンして食べて。」


「うん、分かった。」


俺はチンしてご飯を食べると、自分の部屋に行く。


 さっきまで静かだったが、家が騒がしい。妹が帰って来たようだ。


 「それでね、兄貴がねぇ」


 「やっぱり駄目ねぇ、」

俺は家でも義妹から嫌われている。


ーーーーーー

 今日は義妹の誕生日だ。

 夜に義妹にプレゼントを渡そうと思っている。義妹は俺からプレゼントは嫌がると思うが兄だから毎回用意している。家の机に手紙と一緒に置くことにした。


 義妹より先に登校すると、クラスメイトがいつも通り嫌がらせされる。

 「宝塚ってほんと髪とかダサくてさ。」

クラスメイトの子が俺の話をしている。もう俺が居ても居なくても関係なく悪口を言うようになっている。


 そして、今日は特に嫌がらせが酷かった。流石にロッカーの穴の隙間から泥を入れるのは酷い。教科書の幾つかが酷いことになっている。


 そして、特に酷い理由はわかった。


 「最悪ー!!」

 見るからに不機嫌だった。そして、俺を睨んだ。正直なんであそこまで不機嫌なのかは俺にも分からない。


「兄貴!!」


「どうしたの?ゆず?」


「どうしたのじゃない!!私は・・・もういい!!」

 先に戻っていく。どうしたのだろうか?まさか誕生日を祝って欲しかったのだろうか?だがみんなが見ているから祝われることは嫌な筈だ。


ーーーーーーー

 

 そして、急に俺の人生の終わりがやってが来る。


 家庭科の授業だった。


 義妹に対してクラスメイトの男子が包丁を向けている。


 「今日!お前に振られた恨み晴らしてやる!!」

 そして義妹に包丁を向けるが、咄嗟に俺が庇うことに成功する。


 「お兄ちゃん!嘘、お兄ちゃん!!」


 「ゆゆ、ゆず。」

 そして「放せー」と包丁を持って居た男の声が聞こえる。どうやら押さえられているようだ。


 「良かった、無事みたいだね。」


 「よかったじゃないよ!!何もよくないよ!!」

 義妹の泣く声が聞こえる。よく聞いてみたらクラスメイトの泣き声も聞こえる。


 「なんで、私のこと庇ったのよ!!」


「そんなの、兄だから。」


「私沢山虐めたじゃん。こんな駄目な妹のために死なないでよ」

 俺は妹の顔を見る。


「確かに、虐められたし妹含めてこのクラスは好きじゃないよ。」


「・・・お兄ちゃん、ごめんなさい、ごめんなさい、最後まで私のことを嫌いにならないで」

 クラスメイトからも謝罪が聞こえる。


 最期だからだろう。押さえてた気持ちがすらすらと出てしまう。

 

 感覚的に分かる、もうそろそろ終わる。

 「家族に嫌われて、クラスメイトに虐められて辛い人生だった。」


 「お兄ちゃん、ごめんなさい。本当は本当は。」

最期に見るのが、あんなに馬鹿にして嫌ってた義妹とは、


 「ゆず、誕生日おめでとう。元気でな。」

____________________________________


俺は刺された筈だ。確実に死ぬくらいの出血をして居た。

 だが、こうして意識があると言うことは夢だったのだろう。


 「お兄ちゃん!お兄ちゃん!!」


 妹が出血して目を閉じている俺を泣きながら抱きしめている。

どうやら夢は続いてるようだ。


 「お兄ちゃん!お願い目を覚まして!」


 というか俺の全身が見えるな。 


 理解した。どうやら俺は死んで魂になったようだ。


 クラスメイトは、泣きながら俺の名前を何度も呼んだり、医者に急いでと何度も呼びかけたりしている。


 そして、医者と警察が入って来た。


 俺を刺した奴は抵抗せずそのまま警察に連れて行かれた。


 医者はすぐに俺を病院に連れて行く。


ーーーーーーーーー

 病院に着いてから、治療室の前で義妹が必死にお祈りをしている。


 「私はこれから先どんなに不幸があってもいいですから、お兄ちゃんだけは助けてください。」

 そして、久しぶりに慌てている母親の姿を見た。


 医者が治療室から出てくる。


 「貴方が、母親ですね。」


「はい、そうです!息子は・・・息子は大丈夫なんですか!!」


「お兄ちゃん」


医者は暗い顔をして答える。


 「大変お伝えし辛いのですが、刀さんは亡くなりました。」


 俺は自分の死亡を家族が知る瞬間を見てしまった。


ーーーーーーーーー


 義妹は、ゆずは布団に包まっている。


 久しぶりに義妹の部屋に入った。


 俺が部屋に入ろうとすると義妹は全力で止めて怒ってくるので部屋に入らないようにしている。


 部屋に入れてくれないのは俺が嫌いだからと思って居た。

 だがこの部屋を見るにそれは違う。


 棚の上には俺が今までにあげた誕生日プレゼントが並んでいる。


 写真が沢山貼られているが、全て俺の写真か俺とゆずが一緒いる写真ばかりだった。


 この着替え中とか盗撮だよな。


 「お兄ちゃん、お兄ちゃん。」

 

 知らないうちに消えていた俺のシャツを握っている。


 死んでからわかることってあるんだな。

______________________________________________

義妹が俺のことを大切に思ってくれいるとは思って居なかった。

 プレゼントも全部捨てていると思っていた。その為この部屋と義妹のここまで落ち込む姿に驚いている。


 俺はしばらく何も変わらない光景を見ている。


 さっきまで妹は泣きながら何度も俺の名前を呼んでいたが、今は涙も流さず体操座りで前を向いている。


 「ゆず、ゆず」

話しかけてみるが返事がない。

 目の前で手を振ってみるがやはり返事がない。


 こんなにも気力のこもってない義妹は最初にあった時以来だ。


 悪口や嫌がらせを散々されて来たけどずっと大切に思って居た。

 出来るだけ義妹には笑って欲しい。


 お母さんが部屋から入って来た。


「ゆず」


「義母さん。」


 「とりあえず学校はしばらくお休みになるみたいね。」


「わかった。」


「私、学校から話を聞いたけど」


義妹は体が震えだす。


 「ゆずは何も悪いと思ってないから。」


「でも、私が!」


「いえ、ゆずは悪くない!刀だってそう思ってるよ。」

 正直言うと俺はほんの・・・少し・・・は義妹は悪いと思っている。普段の俺へのきつい言葉のように、告白した相手にもかなり酷いことを言ってしまったのだろう。


 「でも、私がアイツのことをもっとうまい言い方で振れば、あるいはOKをすればこんなことには」


「そんなの分からないから仕方無いわよ。どんな振られ方をしても殺すつもりだったかも知れないし、これからちょっとしたことの怒りで殺すかも知れなかった。振られたくらいで人を殺すような人が何を起こすかなんて私達には分かるわけない。」


 お母さんは義妹を抱きしめる。


 二人は泣き続けた。


ーーーーーーーーーー

 俺の葬式に思ったよりも参加する人が多く、クラスメイトのほぼ全員が居た。


 義妹は死体の俺の側から離れないでいる。

 おー意外にクラスメイトの多くが泣いているよ。嘘泣きか、雰囲気で泣いてるのだろうけど、少しは嬉しいかな。


ーーーーーーーーーー

 学校が再開し、ゆずが教室に入るとみんなから心配の声が上がる。


 ゆずは「ごめん、今は一人にして欲しい。」そう言ってクラスと距離を空ける。


 俺の席がある。そして義妹は俺の席に座り昼寝をする。


 まだ最初の授業も始まってないが寝るのが早いな。


 「お兄ちゃん。」

 義妹は寝言を言っている。

 

 その後は先生もクラスメイトも誰も起こさない。起こし辛いのだろう。

ーーーーーーー

 次回からルートが分岐します

①夢で義妹とクラスメイト達と再開するルート

 

 ②今の感じでいくルート



 

____________________________________


「お兄ちゃん」


 義妹は今どんな夢を見ているのだろうか?

 涙を流していると言うことは悪夢でも見ているのだろうか?


 俺は義妹に散々悪口を言われた。虐めもされた。義妹は俺を嫌っていると思っていたが俺は嫌っているわけでない。むしろ義妹を兄として大切に思っている。


 どうにか義妹にせめてもう一度だけでも、会うことが出来ないだろうか?


 でも誰も俺には気付いていないし、俺も物に触れられない。

 こうしてただ眺めることしか出来ないのだろうか?


 俺はせめて、思いだけでも届けばと義妹の頭を触ると突如視界が暗くなる。


ーーーーーーーーーーーー


 ここは何処だ?


 「キモィ」


!!


 あれは?小さい頃の俺と義妹?


 「お兄ちゃん、手がキモィよ!!」


そうだ、あれは初めて義妹が俺にキモィと言った瞬間だ。


 「だって、ゆず虫嫌いでしょ。」


 急に落ちて来た虫を俺の手で防いだ


 「その虫を触ったお兄ちゃんがキモィの!!」


「、でもゆずに当たりそうだったし」


「キモィ!とにかく触らないで!」

義妹は走って行く。


「あっゆず!!」


覚えている。ゆずはとても虫が嫌いで当たらないように防ごうとした。けどこれが原因で俺達の関係は悪くなった。


ーーーーーーーーー   

場所が変わったが、小さい二人がまたいる。

  

 「お兄ちゃん、私に近寄らないでよ!」


 「でもしっかり手を洗ったしさ。それにゆずには触らないよ。」


「もう触ったことがあるから、嫌なの!!」


 俺はこの時何回も手洗いを繰り返して、ハンドソープを使いきるまで何回も洗ったが、ダメだった。


ーーーーーーーーー

  「ゆずこれ、誕生日プレゼント!!」


「え、いらない。」



 義妹は受け取らなかったと思っていた。そういえばこの時から完璧に部屋にロックを掛けるようになった。


 あの部屋に置いてあったから本当は大切に取ってくれていたようだ。

ーーーーーーーーー

 そして、二人は中学の制服を着ているが、


  「ゆず、」


「キモ」


 二人の関係は変わらない。そう、もう虫のことなんて関係ないようだった。

ーーーーーーーーー

 今度はゆずと当時のクラスメイト氷舞 夏季が居る。


 「ゆずってさ、アイツの義妹なんでしょ」


「そうだよ。本当キモくて最悪」


「義妹にここまで嫌われてるって受ける」


ーーーーーーーーー 

 今度は反対に俺だけになった。


 ロッカーを開ける俺がいる。

  「はぁー」


 中には汚れた教科書と手紙が入っている。


ーーーーーーーーー


 そして、俺の知っている義妹が体操座りをしている。

 

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