第6話

「あの、大丈夫ですか?」


「・・・っ」


「すごく焦っているようですかど、」


「・・・嘘だよね」


「・・・嘘じゃないです。本当に覚えてないです。」


「うぅぅあーー!!」


彼女の悲鳴が病院中に響いた。


そして、先生が来た。



ーーーー


「・・・優くん来たよ。」

誰か分からない人は差し入れを持ってきてくれたようだ。


「あ、こんにちは」


「優くん、良かった元気そうで、って春どうしたの?そんな顔をして、優くんが無事だったんだから良かったじゃん」


「・・・何もよくないよ」


「春?」


「何もよくないよ!!」


「どうしたの春??・・・優くん・・・春どうしたの私に話辛いと思うけど、話して欲しいな」


「さっき俺が記憶喪失だって聞いてから、このような感じに」


「なるほど記憶喪失になったからか・・・」


ストンっ手から抜けるように差し入れが落ちた。


「あ、持ったいない。」


「待って!!優くんさっきから普通だよね!!よく考えたら少し前の記憶が抜けたとか、階段から落ちたんだし、」


「ないよ」


「ないよって、何がなの?」


「優、そこのいる女の人覚えてる?」


「いや、・・・そんな流石にそんな質問は」


「覚えてないです。」


「そ、そんなぁ」

覚えてない人は、その場で足の力が抜けたようにしゃがんだ。


「ねぇ、春」


「・・・何?」


「私、別れて来たんだ。」


「・・・そうなんだ」


「私は元から、いつでも優くんのために別れていいって約束してたし」

俺のため??この人はどう言う関係なんだ?


「だったね」


「でも、別れるとき、最低だったよ」


「そうなんだね」


「そう。だから私はもう心置きなく優くんを愛そうと思ってたよ」


「・・・」


「なのに、優くんは私のことを忘れてしまった別人になっちゃった。」


「・・・」


「別人になっちゃったよ」


________

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