俺の幼馴染みが一人暮らしをするらしい

夕日ゆうや

甘いひととき

「それはこっちにお願い」

 俺は衣類の入った段ボールを亜衣あいの指示通りに持っていく。

「今日から新生活の始まりだな。亜衣」

「そうだね。傘立て、どうしよう?」

「ん? 俺が作ろうか? 簡単なのなら作れるぞ」

「本当!? じゃあ、お願いしようかな……」

「オッケー任せろ」

 俺はまず収める寸法を巻き尺で測る。

 そして亜衣を引き連れてホームセンターに向かう。

 木材とネジを買いそろえると、ホームセンター内にある作業場で切り出す。

 簡単な傘立てを作ると、亜衣の玄関口に置く。

 ロの形をした台を作り、その上の棒に傘のとってを引っかける形だ。

「すごいね。傘立てっていつも丸い筒状のものをイメージしていたんだ」

「だろ? これなら場所をとらない」

「うん。ありがと」

 そのあとも引っ越しの手伝いをする。

「今日はありがとうね。お陰で助かった」

「俺とお前の仲じゃないか。今更気にするなよ」

「え。でもお礼とかしたいな」

「じゃあ、手料理」

「え?」

「手料理食べさせてくれよ」

「……うん。いいよ」

 頬を赤らめる亜衣。

 どうしたのだろうか? 熱でもあるのか?

「分かった。待っていてね♪」

「ああ。いくらでも待つさ」


 俺はこの日、亜衣の手料理を初めて食べた。

 おいしかった。

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