第3話
「お母さん、いいよ。退学くらい」
「春!!何度も言うけど、退学じゃすまないって、いつも優さんが優しいからここまで住んでるけどこのままじゃあなた捕まるよ」
「捕まるって未成年だし」
「・・・本当に分かってないのね。施設に行くのよ」
「施設??」
「何度も説明したでしょ」
俺の前で驚きな会話をしている。
やたらと、自信があると思っていたけど、覚悟が決まっていたんじゃなくて、知らなかったのか。
「とりあえず、このままだと私や妹達から離れ離れになるわよ」
「そ、そんなの嫌だ」
「・・・」
俺は一体何を見ているんだろうか、頭がおかしくなってくる。
そりゃそうだろうと、
「優さんはずっと言ってたよ。」
「何を」
「春さんのことはともかく、妹さん達がお姉ちゃんと離れることになるのは嫌だろうし、何よりお姉ちゃんが前科もちだと苦労するだろうしって」
「・・・っ」
「そう、だから警察までは問題しなくて済んだの」
「そんなの、聞いてない」
「言ったよ!!でもアンタ無視してたじゃん」
「・・・っ」
ーーー
それからも、二人の喧嘩、と言うより母親の一方的な叱りが続いた。
なんか、複雑なのか、それとも春さんがヤバい人なのか分からない。
「優さん、本当にごめんなさい、お願いです。今度の今度こそ、盗むことをさせませんから、許してください」
「・・・ごめんなさい」
はぁ、分かってたよ。結局は俺の方にも、問題があるって、
でも母親ももしかたら茶番をしてるだけかも知れないし、それに同じことを繰り返すかも知れない。
俺は考える。
どうすれば、春さんが強盗をしないだろうか?
俺は考える。
「本当に幾らでも払います。損害分以上を払いますからお願いです」
それは本当に払ってくれたんだよな。前回も、
つか、それなら、前に言ってた金がないのは嘘じゃん。
いや、嘘って訳じゃないか、もしかしたら、娘達の大学費の分とか残してくれたりしてるかも知れない。それを使ったとしたら、・・・別にそれは奨学金を借りれば、ってそうじゃなくて、
どうしようか、とりあえず、
まぁやっぱり結局、怖いよなぁ。人の人生を壊すのって、
「一つ提案があります」
「何でしょうか?何でもします!!」
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