2024年11月14日放送 題・うっかりミス

今回のお題は、「うっかりミス」。

私はおっちょこちょいな人間なので、

うっかりミスとは馴染み深いです。

今回は、

要するに、

失敗談の俳句でしたので、

視聴者も楽しめたのではないでしょうか。


さて、

今回は、全7句の中から、

3句を添削してみました。

まず、

最下位(37点)に選ばれた、

俳優の大友花恋おおともかれんさんの

俳句を見てみましょう。


裸木や露天にマスクつけ浸かる


裸木はだかぎ」は、

枯れ木のことで、冬の季語。

「マスク」も冬の季語。

マスクを取り外すのを忘れて、

露天風呂に入ってしまったという、

冬の失敗談ですね。

素材は悪くないと思いますが、

季重なりは出来れば直したいところです。

それにしても、

37点は厳しい査定ですね。

夏井先生の添削例を見てみましょう。


1 裸木やマスクのままで露天風呂

2 冬温しマスクのままで露天風呂

3 年の瀬やマスクのままで露天風呂

4 失恋やマスクのままで露天風呂


いずれにしても、

うっかりミスの感じが

あまり無いのが気になります。

添削例を考えてみました。


A マスク取り忘れて入る露天風呂

B 露天風呂マスク取り忘れて入る

C マスク取り忘れて風の露天風呂

D 海光る温泉マスク取り忘れ


季重なりを避けて、

季語はマスクだけにしてみました。


次に、

1ランク昇格と評価されて、

名人9段になった、

俳優の森口瑤子さんの

俳句を見てみましょう。


おでんは玉子逞(たくま)しき口内炎


「おでん、おでん酒」が、

冬の季語です。

森口さんの説明によると、

おでんの出汁だしが染みるけど、

おでんを食べているうちに、

だんだん口内炎の痛みが

気にならなくなった場面とのこと。

私はてっきり、

口内炎が出来ているのを忘れて、

おでんの玉子を食べてしまった場面かと、

誤読してしまいました。

そういう誤読を避けるための

添削例を考えてみました。


A 口内炎無かったようにおでん食う

B 口内炎治る錯覚おでん食う

C 口内炎消えたのかしらおでん酒


こうすると、

韻律も整って、

森口さんの表現したかったイメージに

近づけたかなと思います。


最後に、

ボツと評価された、

永世名人の

フルーツ・ポンチ村上さんの

俳句を見てみましょう。


雑巾にガラス破片と今朝の冬


「立冬」が冬の季語で、

傍題に「冬立つ、冬来ふゆきたる、

冬に入る、今朝の冬」があります。

夏井先生は並列の助詞「と」が、

良くないと仰っていましたが、

あらためて読み返してみると、

雑巾にガラス破片を見ると同時に、

そのガラス破片に立冬を感じた、

そんなふうに読めて、

これは良い句だったのではないかと、

今は思います。

とりあえず、

夏井先生の添削例を見てみましょう。


雑巾にガラスの破片冬来る


シンプルで無難な添削です。

しかしながら、

もう少し良くなりそうですので、

添削例を考えてみました。


A 雑巾のガラスの光る今朝の冬

B 冬来る雑巾のガラスの破片

C こなごなの硝子は立冬の光

D こなごなの硝子に冬の光りおり

E こなごなの硝子や冬となりにけり


雑巾は省略しても、

問題無さそうですね。

いずれにしても、

割れた硝子に冬を感じるという

村上さんの感性は素晴らしいですね。


今回は以上です。



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