2024金秋戦・決勝 題・自分で撮った写真

今回は、

2024年10月3日に放送された、

2024金秋戦・決勝について、

分析・添削していきたいと思います。

題は「自分で撮った写真」でした。


まず、

決勝戦の出場者の

おさらいをしておきましょう。

特別永世名人の

梅沢富美男さん、

永世名人の

フルーツポンチ・村上さん、

千原ジュニアさん、藤本敏史さん、

横尾渉さん、

この5名がシードでした。

そこに、

予選を勝ち抜いた、

的場浩司さん、森迫永依さん、

千賀健永さん、立川志らくさん、

森口瑤子さん、

この5名を加えた、

合計10名による決勝となりました。

果たして、

この中の誰の俳句が

秋の俳句のタイトル戦を制するのでしょうか。


今回は、

上記の10名の俳句の中から、

4句を添削してみました。

まず、

最下位(第10位)に選ばれた、

名人8段の

森口瑤子さんの

俳句を見てみましょう。


方向音痴ぐるぐるぐるぐる秋思


「秋思(しゅうし)」が秋の季語で、

傍題に「秋あわれ、秋さびし、秋意」

などがあります。

掲出句は、悪くないと思いますが、

夏井先生の添削例を見てみましょう。


行く方を失いぐるぐるぐる秋思


今ひとつですね。

添削例を挙げてみます。


A 方角を失ってぐるぐる秋思

B 秋の空ぐるぐると方向音痴

C ぐるぐると秋思あなたを見失う


韻律を整えてみました。

添削例Cでは、

失恋の句にアレンジしてみました。


次に、

第6位に選ばれた、

名人7段の

立川志らくさんの

俳句を見てみましょう。


師が逝きひぐらし号泣しております


「ひぐらし」が秋の季語です。

亡き師への挽歌ですね。

悪くはないと思いますが、

夏井先生の添削例を見てみましょう。


しづかなる号泣ひぐらしに逝きぬ


このままで十分ですが、

別案を考えてみました。


A ひぐらしと訃報しづかに号泣す

B ひぐらしのごと号泣す師の訃報

C しづかなるひぐらしや師は逝きにけり


添削例Cのように、

号泣と言いたい

気持ちを抑えるほうが、

より悲しみが

伝わるのではないかと思いました。


次に、

第4位に選ばれた、

永世名人の

藤本敏史さんの

俳句を見てみましょう。


銀杏の実剥き終へ自由になる十指


「銀杏(いちょう)」が秋の季語です。

場面のよく分かる句です。

夏井先生の添削例を見てみましょう。


銀杏(ぎんなん)を剥き終へ自由なる十指


すっきりとはしましたが、

もう一展開してほしいですね。

藤本さんの説明によると、

子供の時に銀杏を剥き終えてファミコンをしたかった、

とのこと。

添削例を挙げてみます。


A 銀杏を剥き終えた手はファミコンへ

B ファミコンへ銀杏を剥きたる指は

C ゲームする銀杏を剥き終えた指


ファミコンや

ゲームということばを入れて、

より臨場感を出してみました。


そして、

見事、

第1位に選ばれた、

特待生3級の

的場浩司さんの

俳句を見てみましょう。


三日月や真朱(まそほ)の隠岐に藍の波


「三日月」が秋の季語です。

もちろん、

このままで十分なのですが、

真朱(まそほ)という言葉が

聞き慣れなくて、

改善の余地があるように感じます。

添削例を挙げてみます


A 三日月と真朱(まそほ)の隠岐と藍の波

B 隠岐の島朱の三日月と藍の波

C 離島なり朱の三日月と波の音

D 二人来た隠岐の朱色の三日月よ

E 波音や三日月は朱となりにけり


隠岐(おき)、

つまり隠岐の島は、

鳥取県の北部にある離島です。

昔は流刑の島でした。

添削例Eでは、

その一番言いたい「隠岐の島」を

あえて捨象する試みをしてみました。


ともあれ、

的場浩司さん、

2024金秋戦、

優勝おめでとうございます。


今回は以上です。





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