2024年2月1日放送 題・鍋つゆ売り場

今回のお題は「鍋つゆ売り場」。

「鍋」と「つゆ」と「売り場」の合成語。

夏井先生、お題を詰め込みすぎですよ。

要するに、

今回の事実状のお題は「鍋」ですね。

実際、鍋の俳句が多かったです。

なお、夏井先生の説明によると、

ただの鍋だと、季語にはならず、

寄せ鍋、牛鍋のように、

なんとか鍋だと、冬の季語になるそうです。


さて、

今回は総勢7名の俳句の中から、

3句を添削してみました。


まず、

最下位・才能ナシ(20点)に選ばれた、

女優の加藤ローサさんの俳句を見てみましょう。


よーいドンおしくらまんじゅう鍋の夜


「おしくらまんじゅう」が、冬の季語です。

これが20点?

にぎやかに鍋を食べている光景を、

「よーいドンおしくらまんじゅう」

という比喩で表現している

発想力のある句だと思いました。

私の感覚では70点の才能アリです。

夏井先生は、

「何言っているのか分からない」

と仰って、次のように添削されました。


おしくらまんじゅうみたいに寄せ鍋を囲う


上5の字余りや、

「よせな/べをかこう」の句跨がりが、

気になります。

添削例を挙げてみます。


A 寄せ鍋をおしくらまんじゅうするように

B よーいドン!すき焼きを食べてもいいよ

C 鍋の具がおしくらまんじゅうしているね


添削例B、Cでは、

話し言葉ふうにしてみました。

鍋料理に集まった

家族や子供たちの賑わいが、

伝わりやすくなったかなと思います。


次に、

第1位・才能アリ(70点)に選ばれた、

アナウンサーの高橋真麻さんの俳句を見てみましょう。


片言の子の猫舌と鱈の鍋


場面のよく分かる俳句です。

夏井先生の添削例を見てみましょう。


片言の子の猫舌と鱈鍋と


これはこれでいいのでしょうが、

原作も添削例も、

まだあまり喋れない子供のことを、

「片言」と表現していますが、

少なからず違和感を感じます。

高橋真麻さんのお子さんは、

確か三歳と仰っていたと思います。

添削例を考えてみました。


A 三歳の吾子は猫舌鱈の鍋

B 鱈鍋や猫舌の子は三歳に

C 猫好きの君は猫舌鱈の鍋

D 犬好きの君は猫舌桜鍋


「吾子(あこ)」は、自分の子供のことです。

こうすると、

鱈鍋を熱そうに食べている子供と、

それをほほえましく見守る母親の情景が、

一層くっきりと目に浮かぶかなと思います。

なお、添削例C、Dでは、

恋の俳句にアレンジしてみました。


最後に、

現状維持と評価された、

特待生2級の森迫永依さんの俳句を見てみましょう。


商談の中華テーブル窓凍つる


「凍(い)つ」が、冬の季語です。

これは秀作だと思います。

しかし、

夏井先生は、

「季語と真剣勝負していない」と仰って、

次のように添削されました。


窓凍つや商談中の中華卓


中華テーブルのことを、

中華卓と普通言うでしょうか。

少し無理があると思いました。

添削例を挙げてみます。


A 中華テーブル冬の商談ひりひりと

B 窓凍る中華の店に商談す

C ぴりぴりと冬の商談キムチ鍋

D 寄せ鍋の商談中に君想う

E 牛鍋の灰汁(あく)のようだなこの上司


こんな感じでしょうか。

私は原作のままで十分良いと思いますが、

お題の「鍋つゆ売り場」が感じられないので、

一応添削してみました。

添削例Dでは、恋の気分を出して、

添削例Eでは、会社の飲み会をイメージしました。


今回は以上です。





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