第56話 アッツとマナ

==これは、地球を救うヒーロー達の日常に密着した物語である==




「……マナ、マナ、マナ、マーナ、マナ、マナ?……」


「もー何よ、朝っぱらから?ウッサイわよ、アッツは!」


「いいじゃんか?……それより、コレ、コレ、コレーー!見てよ、マナ!」



 朝の教室。


 ホームルーム前、いつものように、真夏美まなみまとわりつく熱太郎の声が響いていた。クラスメイトは、『またか……』と、あまり気にするものもいない。



「ん?これ、“UNISIROウニシロ”の新作水着パンフレットじゃない?どうしたのよ、こんなもの?」


「へへーーん、今朝、店の前に一番に並んで、貰って来たんだ!」


「え?一番?って、“UNISIRO”って、店の開店が早いので有名だけど、登校の時、アッツがバスに乗ってないと思ったら、そんなところに行ってたの?」



「どうだ、凄いだろ!朝、4時から並んだんだぞ!」


「バッカじゃないの?……そんなチラシ、午後になったら、ホームページに掲載されるじゃない!」



「何言ってんだい、マナ姫さま!

 ……ええーい、頭が高―――い、このチラシは、どこのチラシと心得ておる!

 ……何を隠そう、このチラシは、店の開店前に現場でしかもらえない“特別限定チラシ”でござるーー!」



「へへへへへーーー、って、なるかい!このアッツめ、≪ボカ!🤜≫」


「うへえーー.·´¯`(>▂<)´¯`·.  また、マナが殴った~~せっかくマナのために、限定水着を買えるクーポン券がついたチラシをゲットしたのにいいい~~」



 もちろん、ウソ泣きの熱太郎あたろうだったが、真夏美は少し狼狽えてしまった。



「え?え?あたしの為に?……あ、い、う、いやいや……悪かったよ、そんなに泣くなってばさーー」



「えへへへ、ウソぴょん!」


「う?……こっらあああーアッツ!👊👊👊🤜🤜🤜✊✊✊!」


「うわああああわーー、ゴメン、ゴメン、…………ユルシテエエエエ…………その代わり、ちゃんと今度の日曜日は、このクーポン付きのチラシを持って、一緒に買いものに付き合うからさーーー」



「え?何?……お前、どさくさに紛れて、何か変な約束してないか?」


「そ、そ、そんな事ないよ!

 …………それとも何?マナは、新作水着を見たくないの?

 しかも、このクーポン付きチラシがあれば、気に入った新作水着が、とっても安く買えるだよ~~い・ら・ない・のーーー?」



「う、う、うーーーー…………いらない……訳が………あるかーーーい!」


「じゃあ、今度の日曜日は、お、っか、い、もの~~……イエッイ!」


 なぜか、とっても嬉しがって大喜びをしているのは、熱太郎だったが、真夏美もそんな彼を見ていると、気持ちが落ち着くのだった。




≪……ホッ……よかった!……これで、またマナの笑顔が見れる…………≫



(つづく)

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