第54話 家族の力

==これは、地球を救うヒーロー達の日常に密着した物語である==




▲▽▲▽▲▽▲▽現在の岡崎家……


『母さん……まだ、7年しか経っていないんだね…………あれから』


 真夏美まなみは、仏壇の写真を見ながら、心の中で呟いた。



「姉ちゃ~ん、オレ、腹減ったよ~。きっと、父さんはまた遅くなるんだから、先に食べようぜ…………ご馳走は届いてるんだ! ヾ(@⌒―⌒@)ノ」


 今日の為に、宅配のメニューの中から、前もって自分達の食べたいものを父親が頼んでくれていた。






 ハンバーグをメインにした肉料理


 カラフルな果物や野菜が入った、ドレッシングサラダ


 いろいろな具が入った、一口大の巻物


 コーンとオニオンのミックススープ


 酢の物と揚げ物と各種チーズの盛り合わせ


 それに、各自好きなジュースも付いている。もちろん、父親は白ワインを注文している。



「そうだね、じゃあ食べようか!」



 ガチャガチャ……ドタバタドタバタ……

「はあ、はあ、……ふうっ……あ、あ、間に合ったか!」



「お父さん!どうしたの?…………そんなに急いで大丈夫なの?」


 目の前に倒れ込むように帰って来た父親を見て、真夏美はつい訪ねてしまった。




「お、おお……だ、大丈夫……だから。……はあ、はあ、はあ……これ、これを……」


 父親は、少し大きめの四角い箱を右手で持ち上げて、2人の前に突き出した。

 その箱には、きれいな模様が描かれていて、ちょうど手て持てるように上に持ち手が付いていた。


 


「そっか、父さん!アレ買って来たんだね!」


 真冬也まとやは、ニコニコしてその箱を受け取り開けて見た。





 中には、きれいな象牙色のプリンが、4個入っていた。そのプリンは、透明なガラスのカップに入れられ、天辺にはきれいな緑色のキューウィーが星形に切り抜かれて飾られている。





 母親の大好きな“スタープリン”だった。






 子ども達の誕生日はもちろん、大切な岡崎家の行事の時は、必ずこのプリンを買ってきた。特別に美味しい訳ではないが、このプリンを食べると、いつも岡崎家の夢が現実のものになるような気がしていた。


 だから、この“スタープリン”は、真夏美まなみ真冬也まとやにとって、楽しさが詰まった特別な物なのだ。





「なあ、今日は、絶対にこれが食べたいだろう?

 …………母さんだって、食べたいって言ってるから………」



 間違いなく、岡崎家の夢を乗せていたプリンだった。




(つづく)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る