第44話 生かされたデータ

==これは、地球を救うヒーロー達の日常に密着した物語である==




「え、何?……極秘って何????……どういう事?」


 南中子みなこは、今度こそショートケーキをテーブルの上に落としてしまった。




「ん?別に大した事じゃないんだ……な、母さん!」


「そうね、私達の研究は、独立して各自自由テーマでやっていたのよ。しかも、私とお父さんは、まだデータ収集だけだったから、大事なことでもなかったのよね……」


「ある程度、データがまとまった時、母さんが僕のプロポーズを受けてくれて、結婚することになったんだ」


「そうよね……うふっ!

 ……折角結婚式を挙げるんだったら、日本に一旦帰りましょうということになったのよ」





 2人は、研究の話をそっちのけで、ニヤニヤしながら式場はどうの、ウェディング水着はどうの、披露宴のお色直しの水着はどうの、ケーキの入刀はどうのと、聞きもしない話をどんどん始めてしまった。





 ウンザリしてきた南中子は、隙をみて核心に迫る質問を挟んだ。


「でさあ~折角集めたデータは、どうしたのよ!」


 南中子は、少しイライラしてきて、言い方もキツくなっていた。





「まあな、大したデータじゃないから、結婚式が終わってアメリカに戻ってから報告すればいいかなあって思っていたんだよ」



「そしたらね、日本政府が気を利かせて、折角結婚したんだから、日本でゆっくりしたらどうかって言うんで、お父さんは市役所の気象観測課勤務を命じられたの」


「ちょうど布礼愛ふれあも授かったので、母さんは仕事をやめて専業主婦になったんだ」






「ふーん!って、それじゃあ、データは?データはどうしたのよ!!」





「あー、あのデータな……しばらく忘れてたんだよね。

 …………そして、布礼愛が中学生1年の夏休みに、自由課題のテーマが思いつかないっていうから、そのデータをあげちゃったんだ」




「えええーー?!そんな大事なデータをお姉ちゃんにあげたーーーー?」


 南中子は、テーブルから拾い上げたショートケーキを床に落っことしてしまった。




「何、驚いているの?ナッチャン?

 ……お陰でフーチャンは、2年間かけてデータの分析をして、中学3年であの論文を書いて最優秀賞をもらったのよ!凄いでしょ~」



「(確かにお姉ちゃんは、凄いの!

 ……あの論文で、地球の温暖化は気象変化の影響じゃないっていう仮説を出したんだもの!)

 それに、お姉ちゃんは、その自分の論文について、わたしにも教えてくれたの……

………そして、その後………

 ……温暖化が……グスッ😔…………ウィルスに……関係してるって………

 ……グスッ😣…………わたしに………教えて……………………

 ……一緒に研究……しよって言ったのに………グスッ😢………………

 

 あれ?……何で?……今回は……楽しいはずなのに


 ………ズズッ…(::>_<::)……


 何で?………何で?………」



 知らないうちに、南中子の目に涙が溜まっていたのだった。




(つづく)

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