第36話 お互いの秘密

==これは、地球を救うために奮闘する“カラフルなヒーロー達”の物語である==






「…………よし、よし……聞こえるぞ!所長とコロナさんの会話が………」


 あたし(真夏美)とアッツ(熱太郎)とミー先輩(南中子)は、レシーバーを部室にあった小型音楽ディスク再生機に繋げ、スピーカーに向かって耳を欹てた。









湖路奈『所長~私、もっとコーラ飲みたいの事で~す』


所 長『ダメ!コーラは、1日1瓶まで。それでなくても、湖路奈は、

    午前中で2本も飲んでるんだぞ』









「ほらね。あんなに儲かっているのに、たかがコーラ1本でケチ臭いこと言ってるだろ?」


「そうね、アッツの偵察の通りだわ!流石、あたしの下部だわ」


「しっ!……何か続きを話してるわよ」








湖『本当に、所長はケチ臭い事です。……制服が売れてあんなに儲かっているのに』


所『ん?儲かっているって?…………湖路奈よ、あのくらいのお金では、

  お前のデータは、現実化できないんだよ』


湖『何よ?私のデータって?……私は、何も知らいの事よ!』


所『ああ、お前は知らないかもしれんが…………お前の中に、あるんだよ。

  大切なデータが』









「データ?いったい何の事なの?ミー先輩知ってます?」


「んー……私には分からん。アッツ、データについては何か調べてきたのか?」


「すみません部長!……所長が留守の間に、研究所の中はすべて調べてみたのですが、大事そうな物は何もありませんでした!」


「え?アッツ、研究所の中にも入ったのか?」


「はい、もちろんです!……マナの奴が、死ぬ気で調べて来いって言ってましたので!」


「うん、よくやったアッツ!……それでこそ、あたしの下部だ!」


「はい、嬉しいです!お姫い様!」




「いや~あ、アッツ、それはダメだろ!……黙って、人の家に入っちゃ……」


「いえ、大丈夫であります!部長!……自分は、ちゃんと許しをもらって入ったであります!」


「え?誰に?」


「コロナさんであります!コロナさんに、研究所に入って、中を調べていいかと聞いたところ、自由にしていいと言ってくれました!」


「ええ?調べるって、言ったの?アッツ?」


「その通りであります!正義の味方は、悪いことをしちゃいかんのです!だから、大丈夫であります!」


「はははは……そうなの……へ~。

 ……マナ、お前の下部は、スゴイな!╮(╯-╰)╭」


「へへへ……凄いでしょ!(^^)/」


「えーっと……マナ、褒めてないからね……それからアッツ、もう下部ごっこはヤメテ!」


「ヘ~ぃ (>︿<) 」












所『コロナ、ここに座ってこれを被ってくれるか?』


湖『いいよ……所長のためなら、何でもするの事よ!』



『……ガリガリ……ブブ……ビビ……ツツー……ガガー……ピッピー…………』










「何だ、この音は?わかるか、アッツ?」


「いや~こんな音のでるオヤツは置いてなかったですね……あったのは、大家さんからもらった水羊羹ぐらいでしたよ…………甘くて美味しかったな~」


「アッツ、オヤツまでご馳走になったの?」


「あ!……ゴメンよ~、マナの分もらって来るの忘れたよ~許して~」


「…≪ゴン!🤜≫……これで、勘弁してやる!」


「ふぇえ~~」


「えーーい、煩い!お前らいい加減にしろ!……ほら、何か聞こえるぞ!」









所『……うーん、この程度のお金では、まだ半分ぐらいしか組み立てられないな~』


湖『所長、いったい何を作ろうとしているの事?』


所『これは、地球温暖化を止めるための大切なシステムだ!』


湖『へーえ、よく所長がそんな凄いもの作れるの事ね!』


所『ん?これはな、僕の力じゃないさ…………

  すべては、お前の中に眠っている設計図のお陰なんだ』


湖『え?……設計図?……そんなの私は知らないよ!』


所『そうだな……

  この設計図は……………君の…………君の研究の成果だもんな………』










「……ミー先輩、あたし分かっちゃった!……所長は、とんでもないものを作ろうとしているんだわ!だから、たくさんお金がいるのね」


「そうらしいな……でも、いったい……」



 こんなの、所長のところに押しかけて、聞いちゃえばいいんじゃないの?って、思ったけど、ミー先輩は、そんなことをしても無駄だと言ったわ。


 そりゃそうよね……あの所長、意外と頭がいい上に、頑固だから、あたし達が聞いても、素直に教えてくれるわけがないのよね。


 それで、ミー先輩の案で、もう少し様子を見ることにしたの。

 なぜか、ウィルスから解放された校長先生達も、所長に協力してくれるようになったから、制服は益々売れるわ。だから、お金もきっと貯まるはず。そうすれば、所長が作ろうとしているものが、完成するはず!

 

 完成間近に現物を見つけた上で問い詰めれば、きっと所長もすべてを話してくれるんじゃないかって、ミー先輩は言うの。





「じゃあ、それまで、あたし達は、今まで通り知らない振りしていればいいのね」


「ああ、そうだ。協力してくれるな、マナ?」


「うん、もちろん、ミー先輩がそう言うなら!」


「オレだって協力するよ!また、悪い奴らが出て来たら、オンダンVにだって、チェインジするからね!」



「そうね、あれはあれで、ストレス解消になるしね!」


「うん、ミー先輩、それじゃあ……頑張ろうね!」



「「「 オー! 」」」




 あ!シーちゃんセンセには、何も言ってないや!……ま、いいっか。どうせ、センセは暴れられれば、それでいいから、余計なことは黙ってよ~!




(つづく)


■□■□

 地球温暖化研究所の目的も少し見えてきました。しかし、そんな途方もない計画は、まだ明らかにされていない1枚の設計図から始まっているようです。

 これから、研究所所長は、その未だ謎の設計図に基づき、秘密の機械?(システム?)を完成に持って行こうとします。


 虹ノ森高校地球温暖化研究同好会のみんなは、その所長の秘密を知りつつ、時期が来るまで現状維持という方針を立てました。さて、そんな日常の繰り返しの中で、いったいいつ、すべての真実が明かされるのでしょうか?


 第4章はここで終了です。次回、第4章の総集編をお届けしてから、次からは第5章「ありふれた日常の変化」をお届けします。

 所長と助手、同好会の3人、顧問の先生、この6人の日常や過去を明らかにしていきます。きっとそれが、“地球の熱を冷ます”秘密の解明につながるはずです。


 どうぞご期待ください!



▲▽▲▽▲▽▲▽

 おまけ……研究所所長が初登場!

https://kakuyomu.jp/users/kurione200/news/16818023213687420207

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