25:魔具庁。
木星(木曜日のアレね)、開店してすぐにおじいちゃんが来た。
「おはようさん! もうすぐ昼じゃがな」
「あははは、おはようございます!」
他のお客さんはまだいないし、相談してみてもいいよね?
貯蔵庫を広げることは出来るのか。
出来ないのなら、他に貯蔵庫的なものを増設するようなことは出来るのか。
外に倉庫的な役割でもいい気がする。調理前の野菜とかはそっちに入れる、とかでも多少のスペースは作れそうだし。
「なんじゃい、ここの時空停止保管庫は拡張しとらんかったんかい」
「……かく、ちょー?」
結構なお金と申請に時間は掛かるが、二倍三倍と何倍にも拡張できるそうだ。
でもコミックにはそんなこと書いてなかったし、人間界でも知られてなかったような?
「うむむ? この数年で魔界では当たり前になっとるが、人間界への施工はしとらんのかもな」
「そういうもの?」
「そういうものじゃよ」
前世で言う、軍用に開発されたものが徐々に市民が使えるものに変貌して、一般的に広がって行くようなものなのかな?
となると、申請しなきゃだけど、どこに?
「魔具庁じゃよ」
「出た、マグチョー。何なの?」
魔具の開発から各種大型魔具の申請まで、魔具に関することを総括して管理している庁らしい。
大型魔具ってなんじゃらほい? と思っていたら、おじいちゃんが例をあげてくれた。
一番普及しているのが時空停止保管庫。
また、それの拡張。
次に、建物全体を覆うタイプの防衛システム。
農作物用の獣害を防ぐための撃退システム。
などなど、他にもあるけれど、代表的なのはここらへんらしい。
なぜそれらを申請する必要があるかというと、建物や土地自体に魔法を掛けるからだそう。
建物や土地を魔具に見立てて魔法陣を組むのだとか。
「ワシはどっちかというと細かいもののほうが得意でのぉ」
「見かけによらず!?」
言うようになった! とガハガハ笑われてしまった。
「んまー、じゃからこそ、申請して得意なものを派遣してもらうんじゃよ」
「なるほどぉ」
と言ったところで気が付いた。
魔具庁の『長官』とかいう一番偉そうな役職名の人物がいたじゃないの。
ウサ耳のひょろモヤシ君。いや、ヒヨルド様様。
ただ、ここのところ凄く忙しそうで、なかなかお店に来れないみたい。
とにかく、申請書は用意しておくことにした。
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