4:営業スタイル決定!
「だらっしゃぁぁぁ! かんぺきぃ!」
「「ワフォーン!」」
生活必需品、食材、営業に必要なもの、全てが揃ってテンションダダ上がりである。
いつから営業しようか。と考えていたところで、ふと、あることに気がついた。
「あーっ!」
私、貯蔵庫を冷蔵庫としてしか考えていなかったけど、つまりは元の世界の物語に出てたマジック・バッグとかストレージとかいうチートアイテムじゃん!?
大量にいろんなものを作っておいて、注文されたら貯蔵庫から直ぐに出来たて熱々を出せるってことよね??
何で今まで気づかなかったの!
あれ? でもさ? 作ったものって、ずっと温かいまま冷たいままだけど、お皿に盛って放置していたら、埃とかは被るわけよね? 表面が乾きそうな気がするけど、それはない……でも、中で息できてるし、動けてるし。
「いやほんと、魔法だけは意味わかんないわ」
ラップ的なものはこの世界にはない。
ってことは、大鍋で大量ストックをつくって、注文受けたら盛り付けて出すようにする?
でもオムライスとかは??
キッチンはカウンター席と対面式になっているので、目の前で作ってドヤァァァもアリよね?
机上の空論だった計画が段々と現実的になり、予定と少し変わりつつもいい方向になってきた。
とりあえず、ストック用の大きな鍋やボウルを追加で買い出しに行った。
魔界に来て一週間、永遠とも言えそうなストック作りに終わりが見えてきた。
丸一日掛けて裏ごししたコーンポタージュスープ。
更に、丸一日掛けて裏ごししたキャロットポタージュ。
更に更に、丸一日掛けて裏ごししたビシソワーズ。
同時進行したビーフシチューとシチューとカレー。
汗だくになりながら焼いたハンバーグ。
いつまで包んでも終わりが見えなかった餃子。
汗だくなりながら揚げたコロッケ、トンカツ、エビフライ。
更に更に更に、丸一日掛けたせいで吐きそうになった唐揚げ。
腕がちぎれるかと思った千切りキャベツ。
癒やしの手ちぎりグリーンリーフサラダ。
湯がいても湯がいても終わらないペンネと付け合せの野菜。
炊きまくった白米と炊き込みご飯。
炒めまくったチャーハンとチキンライス。
癒やしのドレッシングと酢醤油作り。
そうして、最大の癒やしであるデザート作りが今日。
大得意のプリンとヨーグルトムースは既に作り終わっている。
今はアイスクリーム作りなんだけど、この世界には冷蔵庫や冷凍庫が、ない。ないのだ。
なぜなら、氷魔法というものがあるから!
またもや立ちはだかる魔法。
あと、醤油とかはあるのに味噌と納豆はない。
これ絶対にあのコミックの作者が嫌いだったんだ!って思ったよね。納豆食べたかった。
「おい、まだかよ!?」
「えー? まだまだー。ゆーっくり凍らせ続けててよー?」
「くそっ、面白そうだからってノるんじゃなかった」
アイスクリームをかき混ぜている私の横で、グチグチと何かを言っている白いウサ耳が生えた少年は無視でいい。
たぶん、無視でいい。
「あ、もちょっと弱めに!」
「くそぉぉぉぉ!」
……無視でいい!
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