第一王子のお見舞い part2

「お久しぶりです。イアン様。」

あぁついに来てしまった...。

選択を間違えたら即死亡フラグが立つ...。

少しでも良い印象を与えなければ...。

「体調は如何ですか?婚約者なのですからそんなに畏まらずに楽な姿勢で大丈夫ですよ。」

「お気遣いありがとうございます。」

「先日はシャーロット様の体調に配慮できず、申し訳ございませんでした...。」

「その件に関してはお詫び申し上げます。完全にこちらの不手際です。」

「いえ、もっとシャーロット様の事情も考えるべきでした...。」

あぁぁ...!顔が...!顔がよい!!

「い、イアン様が気になさることではございませんので...。」

「シャーロット様はお優しいですね。ただ今回の件は改めて謝罪させて頂きます。」

はぁ...流石だなこの王子。

シャーロットと同じぐらいの年齢だよね?

私と中身の年齢は10ぐらい離れてるのに、礼儀正しすぎませんか!?

こんなに小さい頃からもう完璧王子だったの!?

「シャーロット様、失礼致します。紅茶とステファン様からのお見舞いの品です。」

「王家御用達のスイーツです。シャーロット様は甘いものがお好きと聞いていたので。」

「...スイーツ。」

王家御用達のスイーツですって!?!? そんなの美味しいに決まってるじゃない!!

「お気に召さなかったら申し訳ございません。」

「食べてもよろしいですか?」

「えぇどうぞ。」

ではでは、お言葉に甘えて...

ケーキをフォークで1口サイズに切り、口に入れる。

その瞬間

「ふわぁ...おいしいぃ...。」

はぁぁあ...口の中でとろける...。おいしすぎる...

なにこれ、何個でも食べられちゃう!!


ん?なんかすごい視線が...

あ、やばい。そうだった...。

夢中で食べてたけどイアンもいたんだった。

うわぁ、すごく顔が強ばってる...。

え、もしかして怒ってる?

まって、流石にこれがきっかけで不敬になったりしないよね!?

「あの...イアン様?」

「...シャーロット様はよほどスイーツがお好きなのですね。」

え、え怖い。すっごく笑顔なんだけど...。


「イアン様、ご歓談中のところ失礼致します。そろそろ...。」

「あぁ、そうですね。今日の所は帰りましょうか。」

はあぁああ、やっと帰るのか...。

「今日は来て下さりありがとうございました。」

「婚約者なのだから当然ですよ。」

こんな仮初の婚約者にも優しいなんて、どこまで完璧なの...。

「ではこれで。シャーロット様、また来ますね。」

「...はい、お待ちしております。」

出来ればもう一生来ないでほしい...。


………… …………



こんなにすぐ攻略対象と会うことになるとは...。

もう緊張でくたくた...。

なんとか最初の死亡フラグは免れた...よね?

それにしても、イアンがシャーロットのお見舞いに来るなんて意外だなぁ。

ゲームでは完全に興味ないって感じで放置してたし。

でもまぁ、今日は美味しいスイーツが沢山食べられたし、まだ死亡フラグは立ってなさそうだから安心してぐっすり眠れそう。

「灯りを消しますね。おやすみなさい、シャーロット様。」

「おやすみ、マーガレット...。」


しばらくは平穏に過ごせるといいけど...。



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