第17話 鷹村優弥と美人巨乳教師
「えっと、これがこうだから……この問題は2!」
「はい、正解ですっ」
「よっしゃー! 段々とできるようになってきたぞ」
「やるな与一、田畑さんの教え方が上手なんだな」
俺が田畑さんの教え方を褒めると、田畑さんは両手をブンブンと振って「そんあことない」と言っている。
田畑さんのノートは綺麗で読みやすいし、教え方も本当に上手だし謙遜しなくていいのに。
「だって、お二人とも飲み込みが早いですし、鷹村さんに限っては、私が教えなくても全然できるじゃないですか……」
「本当だよな、こいつは裏切り者だ」
「真面目に勉強している奴のことを、裏切り者呼ばわりするな」
「そ、そうですよね……ごめんなさい」
「いやいや、田畑さんが謝らなくていいよ」
田畑さんが謝ってきたので、与一が悪いんだからと、頭を上げてもらう。
「じゃあ、この問題までやりましょうか」
「はーい」
そのまま勉強を再開しようとした時、窓の外から、異様な殺気のような視線を感じた。
春姉が俺の方をジッと見ていた。
いやいや、怖いって春姉……。
それを朱羽先輩が隣で苦笑いしている。
◆
学校が終わり、春姉がまた俺の家に来ている。
しかし、いつもと違い、ムスッとしている。
「ゆうちゃん、楽しそうだったね、朝の時間」
「いや、楽しいっていうか、勉強を教えてもらってただけだよ」
「じゃあ、楽しくなかったんだ? あの雰囲気で」
「まぁ、楽しくはあったかな」
それを言うと、春姉はもっと表情をムスッとするようになる。
春姉にとって面白くない話みたいだ。
「ゆうちゃんさ、勉強は教えてあげるって言ったよね?」
「え……? あぁ、言ってた気がするけど」
「もしかして、忘れてた?」
「い、いやっ! 春姉ばっかに頼ってられないと思ってさ!」
「忘れてるわけじゃないんだ」
「ほ、ほら、1年生の範囲だし、時間を取らすわけにも」
俺がそう言うと、春姉は俺の頬を突いてくる。
少し伸びた爪が頬を刺激する。
「そんなことを思わなくても大丈夫っ」
「……は、はい」
「じ、じゃあこれから勉強しようか?」
「え……今から?」
俺が嫌そうな顔をすると、春姉は顔を近づけてくる。
「まだまだ、危ない教科あるんでしょー?」
「それはまぁ……あるけど」
――――っていうか、ちけぇよ……。
もちもちしてそうな肌、大きくクリクリして瞳に吸い込まれそうになる。
「生徒会に入ったのに、赤点なんてあったら、イメージが下がっちゃうよ」
「それもそうだな……」
「だから、教えてあげるから、一緒に勉強しよう?」
春姉の説得もあり、俺の重い腰が持ち上がった。
「あっ! ちょっと待っててね、すぐ戻るから」
春姉はそう言って、これからやるという時に、出て行ってしまった。
なんか閃いた! みたいな表情だったけど。
「じゃ、じゃーんっ!」
「……春姉、メガネなんてつけてどうしたの?」
普段は眼鏡なんてつけなくても視力はいいはずの春姉がなぜか黒縁のメガネをして戻ってきた。
「ふふん、どう?」
「えっと、どうとは」
「似合う?」
「んー、どうだろう」
俺があいまいな返事をすると、慌てた様子だった。
「おあれ? おっかしいな……眼鏡をかければ――――」
「眼鏡をかければ知的に見える的なやつ?」
「すごい! なんでわかったの?」
「いや、わかるでしょ、っていうか春姉頭はいいのにたまにおかしい時あるよね」
春姉はそれを聞いて、ショックを受けていた。
しょんぼりと眉毛を下げていたが、眼鏡は付けたままだった。
「それじゃあ、始めていきます」
「お願いします」
「ふふふ、今の私は春姉ではなく、先生と呼ぶように」
なぜかノリノリになっている春姉に苦笑いしながら、茶番に付き合ってあげることにした。
「せんせー、この問題が……」
俺が春姉に質問しようとしたとき、春姉の眼鏡姿に妙に緊張してしまった。
「んー? どれどれ?」
そう言いながら、寄ってくる春姉の胸が机に乗っているのが俺には分かった。
どんだけ大きいんだよ……。
「――――って聞いてますかー?」
「いてっ」
「こらっ、集中しなさいっ」
「す、すみません……」
春姉に頭をポカっと叩かれる。
全く痛くはないのだが、反射的に痛いと声が出る。
本当に巨乳美人教師に勉強を見てもらってるみたいで……。
よくない、今本当に良くないことを考えようとした。
「集中力が足りないぞー?」
「はい」
せっかく、春姉が自分の時間を割いて教えてくれているので、しっかりと集中する。
「あ、なるほど……こういうことか」
「そうそう、できるじゃんっ」
よくできました。と俺の頭を撫でてくる。
しかし、それ以上に教え方が上手すぎて撫でられたことよりも驚いている。
「春姉、教え方すごく上手だ……」
「でしょー、みんなから好評なんだよー」
春姉はそう言うと、嬉しそうにニマニマしている。
美人教師から、ただの可愛い女子に戻った。
こういう時の表情は本当に子供っぽい。
もちろんいい意味でだ。
「こんなに上手なら、みんなも教えてもらいたくなるわ」
「そ、そんなにかなー?」
「うん、本当」
「ほ、褒めたってなにも出ないぞ!」
出なくても、違うところが出ているので、俺にはそれで十分です。
その後も、何度か悪魔の誘惑と戦いながらも、俺は理性を保ちながら勉強に励んだ。
当分は教えてもらうのはやめようかと迷うくらいには破壊力が抜群だった。
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