元旦から始まる不幸

M-HeroLuck

第1話

「あた~らしい、あさがきた。ことしはつでええと」

 1月1日。日本で最初の祝日、元旦、お正月。

 一人寂しいワンルームで目が覚め、今日この日を迎えた。

 大学初めての冬休み。二度寝に更け込みたくもなったが、これから彼女とのデートだから体を起こした。

 隙間から冷気が入り、布団から出るのも億劫だったが、我慢した。シバリングを起こして、体を温めつつ、布団から抜け出した。某少年漫画で名称を知った、体を震わせる行為で一時的な暖を取って、這い出た。産まれたときの姿のままで。

「寒いからなんだ。楽しいことが待っているんだ。誰にも邪魔させない」

 そう奮起して、シャワーを浴びに行った。彼女と会うために体をきれいにする。

 その後は体を冷やさないように着込んだ。靴下に、パンツに、ヒートテックに、ズボンに、タートルネックに、セーターに、コートを身に着けて。タオルで水気を拭って、着飾った。

 そして濡れた髪の毛をドライヤーで乾かして、ヘアブラシで解いていき、歌いつつ、ワックスでビッシっとキメていく。

「いざゆ~け~、むてきの~」

 若鷹軍団は関係ないけど、そろそろ出ないとマズい。起きてから1時間近く経っている。このままだと彼女と待ち合わせている時間に遅れてしまう。

 寒い中、じっと外で待たせるのも悪い。神社で初詣デートをすることになっているから、早めに行かないと体を冷やしてしまう。そのせいで風邪でも引かれたら、大変だ。

 その辺は気遣わないと。寒い目に遭うことになるにしても、できるだけ短くしないと。

 男だからというわけではないけど、好きな子にきつい思いをしてほしくはない。こっちから告白して、付き合ってもらっているのだから、余計に大切にしないと。

 それに一応、先輩でもあるから、それも含めて、しっかりしないと。

 大学・学年・学部・学科全て同じだけど、俺は1年浪人している。彼女と付き合ってひと月の12月で年は並んだけど、来月の俺の誕生日でまた彼女より1つ年上になる。短い同級生気分も覚めてしまう。

 そういうことだから、頼りない印象を植え付けないようにしないと。

 だらしないように見られたせいで別れ話に発展したくないから、時間より先に待つつもりでいる。新年早々、不幸に落ち込みたくないから。

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