第13話サッカーはサッカーだけじゃない
「はあ…はあ…」
「としや!おい、としや!ディフェンス!もっと走んねえと!もう交代枠は使ったんだぞ!負けちまうぞ!」
「わかってる、けど…」
もう限界だ。足が動かない。
「雑魚!おらついてこいよ!」
「あいつよわwうい余裕」
はあ…はあ…クッソ、クッソ!また前に行きたいのに、行かなきゃいけないのに…どうしてみんなより俺はこんなに劣るんだ。。
「としや!きっけ!!!走るんだよ、走ればまだ負けてねえよ!どうせいつも通りネガティブなことばっか考えてんだろ?とっとと辞めろ。監督がお前をまだ交代しなかったんだ。つまり、監督はお前が活躍することを期待してんだよっ!」
「でも、俺は」
「でもじゃねえ、やんなきゃなんねえんだ。監督を勝たせるって言っただろ?ほら、また相手のオフェンスだ。走ろうぜ!」
「動けええええええっ!」
「…!?ちっ、なんで後半アディショナルタイムでいきなり本気出すんだよ!」
アディショナルタイム…試合時間の中で試合が行われていなかった時間などをここで追加する
「走るって、走るって言ったからっ!」
◆
「お前は根性あるな。」
はあ…はあ。
「としや!もっと走れー。」
「としや!」
「おい!としや!走れって!根性見せろよ!」
根性なんかじゃ勝てねえよ。サッカーはサッカーはサッカーが上手いから勝てんだろうが…!
「としや。サッカーはサッカーだけじゃない。覚えておきなさい。」
何言ってるかわかんねえ!いつもそうだった。でも、今ようやくわかったんだ!サッカーはサッカーだけじゃない!
「は!?奪われた?」
「としや!こっちフリー!サイドサイド、」
突き進め、前へ前へ前へ!
「としや!あいつ、本気で走ってるぞ!よーしそうだめいいっぱい走れ!」
サッカーはサッカーだけじゃないっ!
「こんじょおおおおおおおおおおおお!」
「おい、ディフェンス!!」
シュー
「入った…。」
「よっしゃああああああああああ!強豪から最後に1点奪ってやった!」
ピー
「なんで最後守んなかったんだよ。祐介、宏、他の奴らもそうだ。守れただろ?今の」
「慶介さ。もっと楽にいこうよ。1点ぐらい失点しちゃってもいいじゃん!だってほら、俺たちは圧倒的なスコアで勝ったんだから」
県大会トーナメント1回戦
箱田サッカークラブVS雫岩スポーツ少年団
3-1
「監督っ、すいませ、んでしたっ」
「泣くなよみんなw」
「だって、これじゃあ約束が…」
「守ってくれたよみんな。先生のために精一杯走ってくれたよな?根性見せてくれたよな?それだけで先生は嬉しいですよ。逆に俺こそ毎日よくわかんないことばっかり言ってたと思う、そんな俺についてきてくれてありがとうな。」
「うっ…」
「サッカーはサッカーだけじゃない。6年生は卒業してしまうけど、中学生になっても俺の言葉を出来れば忘れてほしくないかなと思いますw他の学年のみんなはこれからもわけわかんない俺についてきてくれ。すまんな!」
「よし、じゃあこれで終わり!みんな帰るよ!」
「うう…」
「としや、お前泣きすぎだよw」
「先生、忘れないです。絶対に!中学生になってもずっと走りますっ!」
「根性、忘れんなよ。いいな?」
「はい!」
箱田サッカークラブトーナメント2回戦進出
◆
「そろそろ試合開始、行くぞマサ。」
「気持ちわりぃから先行けよふくなが。」
「うっざ!もう知らん!」
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