第104話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 24

 市場の魚屋。

モルトという二代目はなかなか面倒見のいい人物のようで、魚獲りに関しても話してくれた。


 「サンドラさんからブリード川の堰の話は聞いたかい?」

「はい。」揃って返事をする姉妹。


 「堰に罠を仕掛けると、大物はその周りで冷やかすように泳いでる。でもね。罠は掛けなくても大丈夫。大きい奴らは、天敵がいないもんだから岩の側で藻を食べたりしながら過ごしてるんだ。一番油断してる時だね。ブリード川の水は澄んでいるから、岩を見ていると魚が見られる。釣りならそのタイミング、投網なら岩ごと引きずるつもりで投げる。何かあったら話しにおいで。僕でよければ相談に乗るよ。」

「ここにブリード川の魚は並んでいますか?」

「あー。あいにくここには並んでないや。ブリード川の魚は数が獲れなくてね。そうそう、ブリード川のヤツは、身体は銀色。薄い青い斑点がある。その斑点だけが光に反射するから、見れば分かるよ。」

「何もかもありがとうございます。」

「私達で獲れるかどうか、でも頑張ります。」

「すまないね、モルト。じゃ、行こう。」


 モルトから借りた荷車を引きながら、事務所へ向かう姉妹とドンバス。


 「良かったな。ここまでしてくれるとは、モルトに感謝だ。」

「えぇ。そのお返しは獲物でするつもりです。」

「楽しみに待っててくださいねドンバスさん。」


 姉妹がこの時代にやってきて、狩りを始めたわけだが、ラビン、そして今の時節からバトン。さらに今日に至っては魚。

当分、いや一生この時代で過ごしていけそうな雰囲気であった。

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