第102話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 22

 市場まで、サンドラと一緒にやって来た面々。


 「あたしゃ肉屋に行ってくるよ。」

「サンドラ、2人を連れて行ったらよかろうに。」


 ドンバスは言った。姉妹は頷いている。

 結局、姉妹とサンドラ、ドンバスまで肉屋に向かった。


 「ドミール、久しぶりに顔を見に来たよ。」

「こんにちはドミールさん。先日は毛皮をありがとうございました。サンドラさんに素敵なベストを作ってもらいました。」

「ドミールさん、ポケットに刺繡をしてくれたの。これで2人を間違わないでしょ?」


 ドミールはサンドラとの挨拶も早々に、姉妹が着ているベストの刺繡を見て頷いていた。


 「ドミール。見てくれ、この獲物。2人はバトンを捕まえるのも達者だよ。」

「ほー。これはすごいな。すばしっこいからと伝えただけなのに、いい収穫じゃないか二人共。こりゃあ寒い時期でも賑わいそうだ。なぁドンバス。」

「あぁ、今年の冬は2人に頑張ってもらわねばな。」

「それならば賃金も弾んでちょうだいよドンバス。あたしじゃ山菜が精一杯の収穫だからね。」


 ドンバスは苦笑いしながら姉妹を見て、

「では川の獲物は得意ではないかな?これからの時期には子持ちの魚が多く獲れる。気が向いたら試してみたらと思うよ二人共。」


 目をパチクリしながら会話を聞いている姉妹。


 「あたしゃ釣りは出来ないが教えるくらいなら引き受けるよ。」


 顔を見合わせ微笑む姉妹。


 「ははは。サンドラから教わっても小魚しか獲れないんじゃないかい?要領が掴めない様なら話しておくれ。魚屋のせがれを紹介するから。」

「軽く見られたもんだドンバス。あたしだって若い頃には……。」

「たくさん小魚を獲った、だろ?」


 内心、サンドラは姉妹の魔術を期待している。もちろんそれなりの成果はあると見込んでいた。


 「レイラ、ライラ。近いうち、この木偶でくぼうをぎゃふんと言わせておやり。」

「まぁまぁ、その辺にしときなよ。うちの品物が減るのも困る。川はそこそこにしておくれよ、レイラ、ライラ。」


 姉妹は、苦笑いしきりだった。

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