第99話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 19

 王都。魔導士協会本部を訪ねたガム。

資料を閲覧していく。

 その合間に、外へ出て目抜き通りに足を向けた。


過去の時代から、王城の門前から続く道は変わらない。

姉妹がいる頃の王城のある城下町の目抜き通りと今も変わらない石畳。現在では歴史を物語るかのようにわだちの刻まれた石畳である。


目抜き通りにそって、巨大な格闘場がある。

そこではかつてから武闘大会が開かれていたようだ。

 国中から集まった強者たちが集まる年に一度の大会。今までに何回を数えるだろう。これも調べておこう。


 大会の勝者は国からの多額の賞金と栄誉を讃えられる。

この勝者の中には、王城近衛隊に任命される者も多くいる。

また、他国の武闘大会に出向く者もいた。


 ガムは協会本部の資料の中から、当時のこの大会も知った。

もう300年以上の歴史のある大会と記録されていた。


 (姉妹のいるフリップグロスの時代のヒントになるかもしれない)。


城下町に出ると、かつての勝者だという者の末裔にも話を聞いて回ったりもした。

 だが、そこでグランダに関する情報は得られなかった。

まぁ当然の事だ。グランダの存在は当時から知られていないのだから仕方ない。


 唯一、強者の一部は、魔導士を先導して魔獣退治に出向しているらしかった。

 近衛隊に所属する者、また、魔導士を先導して用心棒的な役柄で生計を立てる者などがいたらしい。

やはりグランダの情報は魔導士経由が早そうだ。


 (町の名前がフリップグロスからブレインラードに改名された経緯が分からない。なにがしかあって改名したのか……。大きな戦争でもあったのだろうか。)


 ガムは再び王都に到着すると、協会本部の蔵書を、出来る限りの資料を閲覧していった。

つごう二日ほど資料室に篭もっていた。

メモが必要なものはメモを取り、時には文章を丸写しして残していくのだった。

 ようやく町の改名の経緯も知ることができた。


 それは今から310年前、王都の政策に不満を持った者たちが集まり、クーデターが起こった時。


シャオングラスティ共和国の戦いと記録にはあった。

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