第89話 This World And Times Past(現世と過去の時代) 9
現世の時代、ミランダ邸……。
「……となると次の薄紫色の雲の時が楽しみね。向こうでは狩りをして過ごしてるなんて。」
「市場に獲物を納めてるようだ。それを待つ町人も多いらしい。生活には支障はないだろうな。」
「住むところも有り、仕事として狩りをしながら過ごしてきたなんて。いつの間にか成長してるのね。少し安心したわ。」
「ところでガムはどうした?」
いつもなら、ミランダ邸にいる時は窓辺に椅子を持っていき煙草を燻らしているガムだったが、今日は姿がない。
「今朝早くにパイルグロスに向かいました。古い文献を探しに行ったのよ。ブレインラードでは、子供達のいる時代の文献が見当たらなかったらしく、隣町へ向かったのだけど。」
「確かに、パイルグロスは子供達のいる時代にもパイルグロスとして存在している。今も昔も町の名が変わらん。ガムはそれで何か得ようと向かったのだろうな。」
姉妹が過ごす時代の情報を、古い文献から得ようと考えたガム。
まもなくするとグアムスタン山の雲が薄紫色になる時がやってくる。
「子供達には、しばらく来れなくなる事を伝えた。実際、かなり体力を消耗している。」
「それはあなたを見ればわかる。子供達も察しているかも知れませんよ。無理をしないでワンドル。巨人の槍であの子達と繋がれるなら、何も必要無いわ。」
「申し訳ないなミランダ。またしばらく町に篭もっているよ。」
ドアを出て馬で町へ向かうワンドル。
出会った当初より衰弱しているのがミランダにも分かった。
(ワンドル、ありがとう。)
その翌日から、ミランダは他の魔導士達と共に、妖魔退治と魔獣退治に出掛けた。
そして、ワンドルが仮住まいする邸宅に魔導士を二人、交代で待機するように指示した。
グランダの意識が仕向ける妖魔の他に、森や山の奥に生息する魔獣退治が増えてきた。
ミランダはその環境下で自身の術式の鍛錬を重ね、転移術式マタスタシス=テクの習得を目指すのだった。
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