第62話 Go Back In Time(時を遡る) 8

 現世の時代……。薄紫色の雲の時。


輝きを失わない状態の巨人の槍。3人のリンクが始まった。


 「このままリンクが届きますように。ワンドル、答えて!」

「大丈夫、通じているようだミランダ。わかるかい?」

「ワンドル様、上手くいきました。リンク出来ています。」

「ガムの言った通り、グアムスタンの雲が薄紫色の雲の時ならばリンク出来るのだ。」


 現世、そして過去の時代の3人は巨人の槍のエネルギーを利用してリンクに成功したのだった。

……が、過去に転移された双子姉妹もこの会話を聞いていたことは、3人には知るよしもなかった。


まもなくして現世に戻ったワンドルは、巨人の槍から引き揚げてきたミランダとガムに合流、ミランダ邸に集った。


 「巨人の槍を通して過去の時代の子供達とリンクする事は可能のようだ。……しかし記憶を失くしていたらどうだろうか。」

「レイラとライラが術式を使えなければリンクも不可能ということになりますが……。」

「それもまた歯痒いわね。なんとかワンドルに探し出してもらい、私の声を伝えたい。子供達が何か思い出せればいいけど。」

「ミランダ様。僕は術式の研究を兼ねて、巨人の槍の近くにしばらく行っています。巨人の槍が輝く度にリンクをかけます。」

「うむ。私も連絡手段として利用しようガム。しばらくこの時代に戻らなくて済むのは好都合だからな。」


 夜が更けても、3人の今後の打合せは続いた。


 「ミランダ。もしかすると、子供達は同じ時節に巨人の槍にいたのかもしれぬ。あの時、少しの間、弱い意識を感じた。」

「それは本当⁉私は何も感じなかったわ。」

「無理もないさ。極々弱い意識だった。別の時代の妖魔かとも思った。私は以前は子供達の意識を知らなかったが、今は十分共有している。それでも判断しかねるほど弱い意識だ。」

「それでは、今後は姉妹の意識にも気を配らなければいけませんね、ミランダ様。」

「もっと感覚を研ぎ澄まさなければならなかった。これでは母親失格ですね。」


 今後の行動を確認し合い、雲が薄紫色に染まり巨人の槍が輝いている時には必ずリンクし合うこととして、過去に渡ったワンドルが姉妹を発見できない場合には、別の時代へ移動することとなった。

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