第34話 Another World (異なる世界) 1

 深い森の中にポッカリと開けた草原。

少し離れて2人の少女の人影が横たわっている。

日差しを受けて見えるその2人は、まるで草原で昼寝をしているかの様だった。


 1人の少女のポケットが薄青く光っていたが、やがて消えた。


 ヤギが数頭近付いてくる。その気配に1人の少女が気が付いた。

「はっ。ここは?私は何をしてたの?」


 少し離れて横たわっていた少女も気が付いた。

「何⁉︎私、ここで寝ていたの?」


 2人の少女はお互いに気が付いた様だ。2人共ゆっくり立ち上がると、歩み寄っていく。


 2人共色違いの同じ服装、同じ短剣を腰に下げているのを見て、開いた口が塞がらない。


 しばらくすると2人は声を揃えて言った。

「あなたは……誰?」「あなたこそ誰なの?」


 その時、ポケットが薄青く光り始めた。


「それは何?」

言われた片方の少女は、ポケットから取り出した。

獣の爪の様だった。


 その瞬間、2人共頭に痛みを感じ、顔を歪ませた。

「それポケットにしまって、頭が痛いわ。」

「ごめんなさい、私も同じ、頭が痛い。」


ポケットに収めてもわずかに光っている。


「何なの?見せられたら頭がひどく痛んだ。」

「よく分からない。何故光っていたのかも……。」


 薄青い光は次第に消えた。


 ポケットの大きな爪を探りながら言った。

「あなた……誰?名前は?」

「名前……分からない。思い出せない。あなたの名前は何て?」

「私?……お、思い出せないわ。ここは何処なの?」

「さぁ。そこで倒れていたの。動物の鳴き声で気が付いたの。」

「そう……。誰か居ないのかしら。」

「こんな場所には私達だけの様よ。どう?動ける?」

「大丈夫。……私達、どうして同じ服なの?しかも下げている短

剣もショルダーバッグまで同じだわ。」

「少し動いて他に誰か居ないか探しましょう。」


 2人はゆっくりと麓に向かって歩き始めた。

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