第19話 Chapter(章) 17
数日後の朝。ガイラ邸……。
「もう2人の上級覚醒はリンクとシンクロを残すのみ。ママ、上達が早いからビックリよ。」
「私もライラも、信じられない位に身に付いていくのが分かるわママ。」
「なんたって最上級魔道士の血を受け継いだ2人よ。パパもビックリしてたもん。」
レイラのバースト系術式は、術具の短剣を使う事で上級魔術フルバーストを獲得、パワー系術式は併せてフルパワーを覚醒した。
ライラの方は、サンダー系術式。同じく短剣を使いムーブ系と同時に上級覚醒した。フルサンダー、ムーブフルを獲得
。
一つ欠点なのは、レイラとライラは別々の術式を覚醒したが、レイラはサンダー系ムーブ系は弱く、ライラはバースト系パワー系がまだまだ弱いものだった。
「あなた達2人は、お互い別々の得意術式なのは良いけれど、1人で妖魔に立ち向かう事になった時に大変よ。だからリンクとシンクロを覚醒する迄に、苦手な術式をしっかり鍛練する事。せっかく上級覚醒出来ているのだから、腕を磨く事も必要よ。それから、掴まれた意識を振り払う練習もしなさい。」
レイラとライラは、自分の手帳にメモしている。
外から蹄の音が聞こえてきた。
ガムが訪ねて来た様だ。
「パパの意識じゃない……。誰?」
「レイラ。私達の知らない意識だわ。多分、前にパパが話していたガムさんじゃないかなぁ。」
「正解よライラ。少し時間が出来たからここに来た様ね。」
「パパとママのお弟子さんね。今ガムさんの意識、覚えたわ。」
「私もガムさんの意識を掴んだ。」
「2人共ガムにリンクしてご覧なさい。もう、すぐそこだから返事を返してくれるわ。」
するとリンクで様子を聞いていたのかガムが姉妹にリンクしてきた。
「やぁ、初めましてレイラ、ライラ。僕はガム。まもなくそちらに伺いますよ。」
「2人共お待ちかねよ、ガム。リンクとシンクロを教えてあげて欲しいわ。」
「ミランダ様。僕の上級覚醒の頃を思い出しますよ。」
「この子達は身に付くのが早いから、コツを教えてあげてね。」
「では、僕が2人のリンクとシンクロの師匠となりますね。」
微笑みながら馬を走らせている。
草の無い小道を、ガイラ邸まで向かって来た。
馬を降りたガムは鞍を外しているところ。
そこへレイラとライラが部屋から出て来て、
「ガムさん初めまして。レイラです。」
「初めまして。ライラです。」
「こんにちは2人共。……意識も似ているが、実際君達はよく似ている。服の色だけでしか見分けが付かないよ。」
あとからミランダも出てきて迎えた。
「遠い所から大変だったわねガム。2人共、ガムは術式の研究者でもあるの。頼りになるわ。さぁ、お茶の支度が出来てるから入って。」
リビングのテーブルを4人で囲んで、クッキーを食べながらお茶にしている
。
「ガム。この子達は双子だけど、意識は全然違うのよ。特に魔術を使っている時はハッキリ違いが分かるはずよ。」
「レイラの得意術式は何かな?ライラも得意術式はあるでしょう?……別に黙ってリンクしなくても良いよ。僕は妖魔じゃないんだから。」
レイラとライラは黙ってガムにリンクしていた。
「シンクロまで教えてあげてガム。2人共あと少しで上級覚醒しそうなの。そうね、陽が傾くまでバリスタン山の岩山に上がったら良いと思うわ。レイラとライラの得意も分かるし、リンクやシンクロの強さも試せるでしょ?」
ミランダとガムの会話中に、レイラとライラは既に術具の短剣を腰に下げて、テーブル横に立っていた。
それに気がついたガムが言った。
「2人共準備がいいね。じゃあその岩山に出掛けましょうか。ミランダ様、陽が傾くまでに戻りますよ。」
「ええ、お願いガム。術式の良いヒントを教えてちょうだいね。この子達の記憶の速さに驚くわよ。……さぁ2人共、ガム師匠にミッチリ鍛練を受けて来なさい。」
「ガム師匠、お願いします。」
レイラとライラは声を揃えて答えると、ペコリと頭を下げた。
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