第10話 Chapter(章) 8

 ある日の晩の事。


 「ミランダ。仲間の魔道士が、遂に妖魔神グランダを発見した。ヤツの意識を掴んだらしく、仲間同士でグランダの意識をシンクロした。私もその意識を記憶しに仲間の所に行く。数日間戻らないが娘達を頼む。」

「魔道士達で倒せるのですか?」

「その為に出掛けるのだ。ヤツの意識を記憶すればリンクで探し出せる。」

「パワーブースト=リンクを使うの?……あなた。妖魔神にも意識を掴まれてしまうわ。危ない事は避けてくださいね。」

「最上級魔道士の私がやらねば犠牲が増える。ヤツの意識を記憶したら、パワーブースト=リンクで誘い出す事も可能になる。魔道士にとっても有利な戦いだ。ミランダ、心配するな。」


強い力を持つパワーブースト=リンク。リンクにパワー系とブースト系を複合させた最上級リンク術式。

リンク系は相手にも意識が伝わり、掴まれてしまう欠点がある。


母ミランダは、このパワーブースト=リンクを自在に扱う最上級魔道士だったが、妖魔に意識を掴まれる欠点を知り、リンクを使わなくなったのが本当の理由でもあった。姉妹の前では、リンクを忘れたていでいたのだった。


 「あなた。私も一緒に向かいます。これでも魔道士の端くれ。あなたをサポートします。」

「やはりリンクを忘れたのではなかったのか……。ミランダ。今は娘達を守ってくれ。パワーブースト=リンクの事は伝えない方がいい。ヤツに意識を掴まれたらここまでやって来る。娘達の術式を鍛えてやって欲しい。」

「分かりました。気を付けていってらっしゃい。」


 翌朝……。


 ガイラは仲間の元に向かった。


 「ふぁっふぁっふぁ。クズ魔道士達よ。われの爪に掻き切られたくなければ立ち去れ!さもなければ命はないぞ。」


 妖魔神グランダを囲む魔道士達。

意識の記憶に、パワーブースト=リンクを使っておびき出した魔道士達。攻撃系術式が飛び交っている。


 「無駄な事よ。バーストもサンダーも弾き飛ばしてくれるわ。」

グランダの爪を避けながら、上級魔術のパワーブーストサンダーやパワーバーストで応戦している魔道士達。

それでも1人ずつ、グランダの爪に掻き切られ倒れていく。


 「むむっ。我の意識に入り込みおって。誰だ!」


 近くにはいないが、ガイラがパワーブースト=リンクでグランダの意識のバランスを崩そうと試みている。


「邪魔だ!クズどもは今すぐ退け!」

爪に掻き切られる魔道士。

既に息絶えた魔道士を踏みつけ移動を始めたグランダ。

ガイラのパワーブースト=リンクを追っている。


 グランダが高い崖まで来たところでパワーブースト=リンクが切れた。

「くっ。リンクが途切れた。逃げたか。さっきのクズ魔道士よりはマシなヤツがいそうだ。」

グランダはそう呟くと、崖下に駆け下り消えた。

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