第6話 Chapter(章) 4

 一通りの魔術を見せ、複合魔術のレクチャーを済ませたガイラ。

姉妹がどこまで記憶出来たかは判断出来ないが、ミランダが一緒

であれば、身に付くのもそう時間は掛からないだろう。

ガイラは少しホッとした。


 昼、ランチタイムまでに家に戻って来た一行。


 「ミランダ。今日はふもとの街より先まで出掛ける。夜は戻らないかも知れないから、皆先に寝ていなさい。」

「分かりました。あなた、グアムスタンの雲が変わり始めてるわ。道中気を付けて。」


 馬の蹄の音が段々小さくなって、聞こえなくなった。


 「ママ。複合魔術を身に付けるのは大変?」

「そうねレイラ。大変だけど、あなたはバースト系にパワー系

術式を複合させる鍛練をすすめるわ。そしてライラ。あなたは

ムーブ系が良いわね。元々力のある魔術を持っているのだから、

それにパワー系やブースト系を加えられる様に練習ね。」


 姉妹達はもう絵本など見ない。

自らの術式を使い、繰り返し練習している。

父ガイラの魔術の記憶を頼りに、術式を使った。


 「2人共、部屋ではリンク系とシンクロ系を練習しましょう。向

き合って座って、相手の心を見るのよ。パパの意識は強いものです

。でも2人が感じ取れないのは、パパの意識に入り込んでいないか

ら。先ずは相手の意識に入り込む事ね。鍛練すれば、心で会話が可

能になるわ。心で声を掛け合う事から始めてごらんなさい。」


 姉妹は向き合って練習を始めた。


 姉妹14歳の術式練習だった。


 「あー、ダメ。ライラの心の中が見えない。意識も少し感じ取れるだけだわ。」

「私は少しレイラの意識が分かる。ランチの事を考えてるでしょ?お腹空いてきたからママの手伝いしましょ。」

「ライラ、あなたよく分かったわね。私、もうお腹が空いちゃってリンクどころじゃないわ。」


 2人はキッチンに入っていった。

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