第2話 攻防 side天音

 皆様初めまして。私の名前は高野 天音あまね。別名天使エンジェルなどと呼ばれています。


 私は、小さい頃から天才だと言われてきました。清洋国では、黄色寄りの髪の毛を持つ方はごく稀で、その髪色で生まれた方は天使様などと呼ばれ、国内から大切に保護されます。


 保護してくださる方々には、幼少期から大変お世話になりました。


 保護してくださる方々はいつも正しい選択を示してくださります。


 私は彼らを心から信用していたため、長年疑問に思っていた『帝国』の実態について聞いてみることにしてみました。


 予想通り、親切な大人たちは『帝国』について全ての出来事を教えてくれました。


「帝国という国はな。危険極まりない国なのだ」


「人を平気で殺し、人によっては家族をも殺す……そんな場所だ。だからこそ、帝国が最強の力をつける前に我々が……いや、世界が滅ぼしたのだよ」


 私はその言葉を聞いて、なるほどと思いました。確かにそのような経緯では、滅ぼされても文句は言えないから。やはり大人達の発言が全て正しく、偉人だと改めて思いました。

 

◇◇◇ ーー現在ーー


 今、私の目の前には憎き帝国人がいます。

今日も私たちの平和を脅かそうとしているに違いありません!!


「……っ!」


 彼女……コードネーム『悪魔』リリスが凄まじい速度で糸を飛ばしてきます。


 私はかろうじて身を逸らしますがーー


「くっ!?」


ーー目にも止まらぬ速さで接近し、追撃を仕掛けてきます。

 

(隙がなさすぎる……)


 私はバックステップをして、体制を整えながらも追撃の機会を探り続けていますが、このレベル帯のスパイになると、隙が一切ありません。


 スパイが追撃をしてくると予想していた私ですが、予想に反してスパイは追撃をしてくる様子を見せません。まぁ、持ち武器を考えれば妥当な判断だと思いますが……。


(このままではジリ貧ですね……)


 私の持ち武器はナイフです。

ですが、奴の武器は糸。接近戦を仕掛けると返り討ちに遭います。


「……本当に、厄介な相手です」


 思わず呟いてしまうほど、めんどくさい相手なのです。


 私は意を決して、太ももにある拳銃を取り出し、スパイに目掛けて打ち込みます。


 私が使う銃玉は特別な機械によりダイヤモンドすら貫通するので、相手は避けるほかありません。


「……そこです!」


 スパイの動きを読み、完璧なタイミングで接近し、スパイに後ろから抱き着くような形で羽交締めにします。


「んぅ!!」


 スパイが苦悶の声を上げます。


 好機と思った私は、さらに両腕に込める力を強めます。


「あぁっ!?」


 スパイが痛みに耐えかねて、体を槍状にして拘束を逃れようとします。もちろん、私もそれに対抗するために体制を整えながら、拘束を抜け出させないようにと力を込めますが、その判断が私自身の首を絞めることになりました。


「……痛っ!?」


 私の腹部に、謎の痛みが生じたのです。何事かと思い、私は痛みを感じた部分に無意識のうちに視線を逸らしてしまいました。


「……!!」


 視線を移すと、なんと腹部にはスパイが得意とする糸によって、私の腹部は傷つけられていました。

 

(どう……して!? 私は完全にスパイの動きを封じたはずです!)


 私は死闘の最中なのにもかかわらず、僅かに思考してしまいました。私が犯したミスによって一秒のタイムロスが生じました。少ないように感じますが、私たちの戦いではこの一秒は致命傷なのです。


 私の拘束が緩くなるのを感じたのか、スパイは一気に私の拘束を振りほどき、体制を崩してしまった私に、追い打ちをかけるように強烈な打撃を一撃、打ち込みました。


「あぐァッーー!??」


 私の体は悲鳴を上げながら崩れ落ちました。重たすぎる一撃をもろに受けてしまっため、私の体は既に動かなくなってしまいました。


 スパイは私の体が動かないことを察知したのか。


「……今日は、百勝、九十九敗で私の勝ちだね」


 と言い残し、その場を去っていきました。




◇◇◇ 




 ようやく動けるようになってきた私は、拘束されていた仲間を救出し、アジトに戻りましたが、ここでも私は帝国スパイによって敗北を味わうことになりました。


 ……どうやら、『悪魔』リリスは私をおびき出す囮に使われていたようで、

私という最強勢力を失ったアジトに、帝国スパイが侵入し護衛対象だった書類は、見事に? 盗まれてしまったそう。


 こうして、今回のミッションで私たち清洋国は、帝国に完全敗北したのです。



◆◆◆ (2話 終)


ここまで見てくださりありがとうごさいます。 

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帝国TSスパイ YB @Furi-za5332

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